お客様が声をかける前に、求めていることを提供する接客は非常に難易度が高いでしょう。接客の達人であるCAは、どのようなことを意識して機内サービスを行っているのでしょうか? 本記事では、元ANAのCAで人材教育講師の三上ナナエ氏の著書『一生使える「接客サービス」の教科書』(大和出版)より、お客様のニーズに気づくためのコツにを解説していきます。
接客の達人「CA」が機内サービス時、「お客様の肩」に注目する理由【元ANAのCAが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

話をしたいお客様の特徴

また、お客様と会話をしたいなと思っても、「邪魔しちゃうかな?」「迷惑かな?」と躊躇することもありますよね。ここでは、ある達人の「見極めのコツ」をご紹介します。

 

10年近く通っているクリーニング店。ずっと接客をしてくれているAさんは「いらっしゃいませ!」という挨拶とともに、気遣いの一声をかけてくれる方です。さりげない雑談も、押し付けがましくないのです。

 

例えば、寒い日にクリーニングするものを渡した時、表面が冷えているのを感じ、「外はだいぶ寒いんですねー。寒い中ありがとうございます」など。また別の日には、「この時間帯にいらっしゃるのは珍しいですね」など。何気ないひと言を添えて、気にかけてくれます。

 

ひと言で返事ができる内容なので、こちらも「そうですね」くらいで会話を済ませてもいいし、自分が話したいことがあれば会話を続けるきっかけになります。Aさんは誰かれ構わず話しているわけではないのは、傍から見ていても感じます。私は研修講師という仕事柄、Aさんに質問してみました。

 

「突然すみません。Aさんのお声がけが素敵だなと思っているんですが、どんなことを大事にしているんですか?」

 

挨拶をした時に、こちらを見てくださる方はお話しが好きな方が多いです。でも声をかけてみないとわからないことも多いですから、お客様にとって負担のないひと言を、まずお声がけするようにしています。それはうちの会社の社長から教育されたことなんですよ。最初はそんな余裕がなくて全然できなくて。少しずつです」とこっそり教えてくれました。自然に見える振る舞いにもポイントがあり、そして努力をして身につけたものだったんだなと、聞いてみてわかったのでした。

 

そして、意外とシンプルですが、言われてみれば「そうだ!」と思えるコツでした。

 

 

三上 ナナエ

元CA・人材教育講師