(※写真はイメージです/PIXTA)
毎週末やってくる3人の孫たち
金曜日の夜、娘から「明日、子どもたちを連れていくね」というメッセージが届くと、ヒサコさんは重い腰を上げてスーパーへと向かいます。お目当ては、2キロの鶏もも肉。孫たちが「おばあちゃんの唐揚げが一番好き!」と喜ぶ顔をみたい一心で準備をしますが、御年66歳。一人暮らしでは使わない大きな中華鍋を引っ張り出し、2キロの肉に下味をつけ、衣をまぶし、数回にわけて1時間揚げ続ける作業は心身ともに疲弊します。
「いらっしゃい……」と孫たちを迎え入れるときには、すでに足腰はガクガク。揚げ油の匂いで自分は食欲を失い、楽しそうに食べる家族を横目に、ヒサコさんはひたすら油の跳ねたコンロを拭き、巨大なボウルを洗う裏方に徹することになります。
孫を歓迎することで圧迫される月13万円の年金
ヒサコさんを苦しめているのは体力的な問題だけではありません。近ごろは、鶏肉の価格も、揚げるための食用油、そしてガス代・電気代も、数年前とは比較にならないほど上昇しています。
国産鶏もも肉(2kg):約3,000円
副菜・デザート・飲み物:約2,000円
油・調味料・光熱費:約500円
週末1回につき約5,500円。これが月に4回続けば、合計で約2万2,000円。年金月額13万円のヒサコさんにとって、この2万2,000円は家計の約17%を占める大きな支出です。
残った5万円から孫のための2万2,000円を差し引くと、手元に残る「自分自身の将来のための備え」は、わずか2万8,000円となります。美容院へ行くのを控え、自分の昼食を惣菜パン一つで済ませてでも、ヒサコさんは孫の前では「余裕のある祖母」を演じ続けてきました。
「娘がお金を渡そうとしてくれようとするんですが、断っています。せっかく近くに住んでいるんだし、娘家族も大変ですしね。少しくらいは助けてあげたい。でも、正直疲れている自分もいるんです」
ヒサコさんは、疲れ果ててソファに座り込む自分を「体力が落ちただけ」と言い聞かせてきましたが、最近では金曜日が来るのが怖くなっている自分に気づき、自己嫌悪に陥っています。