いつかは誰もが直面するだろう親の死。それに伴い必ず相続が発生します。相続ではお金はもちろん、いろいろな感情が絡み合い、トラブルに発展することも珍しくはありません。よくあるケースのひとつが「遺産の使い込み」。意図的で使い込んでいるケースもあれば、意識せずに使い込みが行われているケースも。どちらにせよ、仲のいい家族でも一気に険悪になるきっかけになるものです。
白状しなさい!享年90歳の母が残した「2冊の預金通帳」だったが…「400万円の不明な引き出し」が発覚。次女に向けられた疑惑の目 (※写真はイメージです/PIXTA)

相続トラブル典型パターン「遺産の使い込み」を防止する方法

相続トラブルにはいくつかのパターンがありますが、そのなかのひとつが「遺産の使い込み」。

 

そのなかでもよくあるケースとしては、施設に入っていた親の預金を勝手に引き出していたり、親の死後に勝手に引き出していたりするケース。親が収益物件を持っている場合だと、親の死後に賃料を独り占めするケース。保険絡みでは、親が加入している生命保険を解約して解約返戻金を受け取るケース。最近は株式取引がネットで行うようになったので、勝手にネット取引してお金を得るケースなども。

 

意図的に行っている場合もありますが、「親の世話をしているのだから当たり前」などと使い込んだ側が使い込みをしたという自覚がない場合も多く、問題をややこしくしています。

 

そのような問題が起きぬようにするのも、終活のひとつの目的。そこで有効なのが遺言書の作成です。具体的に遺産の内容、分割の方法を記しておけば、実際に使い込みがあった場合は気付くことができますし、事前に遺言内容を知らせておけば、遺産の使い込みを抑止することもできるでしょう。

 

 

遺言書には大きく、「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の2つがありますが、よりトラブル防止を確実にしたいなら後者。遺言を書き換えられるリスクや紛失してしまうリスクがなく、納得感が得られやすい遺言書のカタチです。

 

ちなみに今回の事例のように声で遺言を残した場合、法で認められるものなのかといえば、残念ながら否。家族の思い出にしかなりません。

 

[参考資料]

株式会社NEXERとSAIKAI&CO『「終活を始める年代に関するアンケート』

法テラス「遺言書には、どのような種類がありますか。」