夫の禁断の「ひと言」に、妻が大激怒
そんなある日、夫婦の間に騒動が勃発。久美さんがパートに出た日、リモートワークで自宅で仕事をしていた博さん。久美さんはパート上がりに幼稚園の預かり保育に預けていた娘をピックアップ。そのあと、スーパーで買い出しをし、そのまま長男の習い事のサッカーの送迎へ。帰宅したのは夜の7時すぎだったといいます。ここから急いで子どもたちに夕食を食べさせ、下の子を風呂に入れ、寝かしつけまで一気にこなす久美さんに、すでに仕事を終え、テレビを観ながら寛いでいた博さんが呑気に話しかけます。
――夜ご飯、いつ出来る? 俺、腹ペコだわ
――ちょっと待ってよ。ていうか、食べ終わった皿くらい自分で洗ってよね! こっちだって忙しいのよ
博さんが昼食を食べた際、使った鍋や皿がキッチンのシンクにそのままの状態で放置。それを見て苛立つ久美さん。いきなり叱責され不機嫌になった博さんは、思わず言い返してしまいました。
――忙しいって、パートで働いてるだけだろ? 俺より家にいるんだから家事くらいちゃんとしてよ
――はぁぁ? 家事も子育てもろくにやらないくせに。あなたがもっと稼いできたら、家事くらい完璧にやるわよ!
見たことのない久美さんの剣幕に、博さんも子どもたちも思わず仰天。
――あまりに腹が立って、いままで心の中でずっと思ってたこと、言っちゃいました……
温和な性格で普段あまり怒ることがないという久美さん。そんな妻の見たことのない顔に少しは反省をしたようです。博さんも、さらには子どもたちも、以前よりも家のことを手伝うようになったといいます。
子育て世帯のパート妻は「年収の壁」を意識して働いているケースが少なくありません。それを本意と捉えるか不本意と捉えるかは、夫の稼ぎ次第ともいえます。厚生労働省の調査によると、40代前半・大卒サラリーマンの平均月収は月42.4万円、年収704.1万円で、月収40万円、年収600万円の博さんは平均を少々下回っています。
「パート妻には家のことをしてほしい」と考える夫と、パートタイムであれ仕事に従事し、さらには家事と育児もこなして疲弊し、「夫にも家のことをしてほしい」と考える妻には、大きな意識の隔たりがあるようです。
年収の壁の話題が取り立たされていますが、見落としがちな「夫の壁」に対しても、夫婦の意識改革が必要なのかもしれません。
[参考資料]
厚生労働省『令和5年賃金構造基本統計調査』