ひとり暮らしの高齢者。1ヵ月の平均支出は14万円ほどだといいます。年金と貯金の取り崩しで対応となりますが、貯金がなければ、当然「働く」という選択に。しかし年を重ねるごとに体を動かすのが大変となり、いずれ働けなくなるでしょう。行き詰った高齢者の行く末は?
もう働けねぇ…〈年金月4万円〉〈家賃4,200円の市営団地〉に住む77歳男性、腰が限界で「時給1,580円工場バイト」を解雇。助けを求めた市役所の担当者に涙した理由 (※写真はイメージです/PIXTA)

銀行口座に残金20円…年金月4万円、77歳男性の生活ぶり

総務省『家計調査(家計収支編)2023年(令和5年)平均』によると、単身高齢者の1ヵ月の支出は平均14万9,033円。持ち家率85.1%、家賃等払っている人は13.1%なので、賃貸の場合、もう少し支出が多いと推測されます。

 

【単身高齢者の1ヵ月の平均支出】

消費支出…14万9,033円

食料…4万0,527円

住居…1万3,103円

光熱・水道…1万4,434円

家具・家事用品…6,219円

被服及び履物…3,420円

保健医療…8,178円

交通・通信…1万6,230円

教養娯楽…1万5,748円

その他の消費支出…3万1,174円

*諸雑費、こづかい(使途不明)、交際費、仕送り金

 

一方で、高齢者の生活のベースとなる年金は、基礎年金が満額受給で月6万8,000円(令和6年度)。厚生年金受給者の平均は月14万3,973円。公的年金の手取りは額面85~90%程度。元会社員・公務員の高齢者の場合、毎月2万~3万円程度不足となり、預貯金から取り崩して対応するというのが平均像といえそうです。

 

佐々木進さん(仮名・77歳)。先月の年金振込日に振り込まれたのは8万6,000円ほど。つまり1ヵ月4万円強。光熱費等の支払いのために振込日に全額引き下ろすのが定番で、口座の残金は20円ほど。

 

――家賃月4,200円の団地に入ることができたから、ほんと助かってる

 

最寄り駅からバスで15分、徒歩だと40分ほどかかる市営団地。以前は駅に近いロケーションながら月4万円ほどのアパートに住んでいたといいます。正直、生活利便性は下がりましたが、支出を抑えることができ御の字。ただ最寄りのスーパーまでは徒歩20分ほどかかるのが厄介だとか。

 

――ここが悪くて、痛くて痛くてそんなに歩けない。

 

そう腰のあたりを指さします。佐々木さんは、もともと腰痛もちでしたが、最近になって悪化。歩くのもままならず、食事は近所のコンビニが定番。「食費は以前よりはかかっているかもしれない……」と、ちょっとしたジレンマです。