老後の生活のベースとなる公的年金。最新の世論調査では、26%が「全面的に年金に頼る」、53%が「年金をベースにしながら貯蓄などを組み合わせる」と回答しています。そのようななか、低年金の高齢者は、どのような生活を送っているのでしょうか。
最高月収300万円「バブルの頃はイケイケだったよ」と誇らしげな70歳男性。〈時給1,130円・トリプルワーク〉で疲労蓄積、残念すぎる年金額 (※写真はイメージです/PIXTA)

元サラリーマン・公務員なら平均年金月14万円だが

内閣府が昨年11~12月に行った『生活設計と年金に関する世論調査』で、「老後の生活設計のなかでの公的年金の位置づけ」を聞いたところ、「全面的に公的年金に頼る」が26.3%、「公的年金を中心とし、これに個人年金や貯蓄などを組み合わせる」が53.8%、「公的年金にはなるべく頼らず、できるだけ個人年金や貯蓄などを中心に考える」が11.7%、「公的年金にはまったく頼らない」が1.6%でした。国民の8割が年金に頼る気満々です。

 

さらに年金を受け取る人も多い60代以上の高齢者に注目すると、60代では「全面的に公的年金に頼る」が28.5%、「公的年金を中心とし、これに個人年金や貯蓄などを組み合わせる」が59.18%。70代以上では「全面的に公的年金に頼る」が43.2%、「公的年金を中心とし、これに個人年金や貯蓄などを組み合わせる」が46.2%。年金に頼りきる、今どきの高齢者の姿が浮き彫りになりました。

 

だからといって、すべての高齢者が十分な年金を受け取っているとは限りません。厚生労働省『令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、老齢基礎年金のみ受け取る高齢者の平均受取額は月5万6,316円。一方、厚生年金も受け取る高齢者の平均受取額は月14万3,973円。65歳以上に限定すると、男性で16万3,875円、女性で10万4,878円です。

 

そのようななか、年金受取額月5万円にも満たない人たちは、満額でも月6.8万円(令和6年度)の国民年金受給者は全体の25%で850万人ほど。厚生年金受給者では全体の2%ほどの33万人。合わせて900万人ほどの高齢者が年金月5万円未満の生活を送っています。

 

そんな人のひとり、安田昇さん(仮名・73歳)。61歳から特別支給の老齢厚生年金を受け取り、65歳からは基礎年金と厚生年金を受け取っています。その額は月5万円。

 

――20代で脱サラしてるんだよ。だからろくに年金、もらえないの