値上げで「老人ホーム費用」の負担に限界…長男に泣きついたが
――正直、自分は高いと思いました
現在、入居している老人ホームに対して斉藤さん。「でもヘンなところには入ることはできない」といいます。へんなところとは……? そのあたりは、斉藤さんの長男・哲也さん(55歳・仮名)が教えてくれました。
――あの人は見栄っ張りなんですよ。元・校長とかいって、まわりの人の目も気になって、安いところには入居できないということなんでしょう
「はっきりいって、父とはずっと折り合いが悪い」と哲也さん。教員で、妙にプライドだけが高かった父を毛嫌いしてきたといいます。そのことを父・隆さんも知っているので、ずっと微妙な関係が続いてきたとか。隆さんが自宅を売り、老人ホームに入居するとした際も、「なぜ、そんな高級なところに入る必要があるのか?」と哲也さんが問うと、「別にお前に費用を出してもらうわけではないのだから、何かいわれる筋合いはない」と隆さん。いつでもふたりは平行線のままなのです。
しかし、隆さんが哲也さんに急接近する緊急事態が発生したといいます。
――すまん、少し金を貸してくれないか
元校長の父が、まさか頭を下げるなんて……。話を聞くと、昨今の物価高の影響で、老人ホームの管理費や食費、水道光熱費など、諸々値上げになったのだとか。そのことを考慮すると、大幅にマネープランが狂ってしまうといいます。
――それで、月額費用はいくらになったんですか?
そう尋ねると、目の前に出した、老人ホームからの請求書。それをみると、驚く金額が書かれていました。
――月35万円、たかっ!
食費が月2万円、水道光熱費が月1万円、管理費が……と積み重なっていき、7万円も値上げ。年間80万円超もアップとなると、計画が狂うのは当たり前です。
――そもそも、高すぎるんだよ、老人ホーム費用が
――仕方がないだろ。へんなところに入居するわけにはいかないのだから、立場的に
いつまでも「校長」の肩書に縛られ、ずいぶんと生きづらそうな……哲也さん、改めて父親とは仲良くできないと感じたといいます。
[参考資料]