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サブリース契約は家賃保証があることや管理の手間がかからないことから不動産投資家にとってメリットが多い一方で、知識がないまま利用するとトラブルが生じるなどネガティブな情報も飛び交っています。本コラムでは、不動産投資のサブリース契約の仕組みや「やめておけ」と言われる理由を解説します。サブリース契約でのトラブルを防ぐポイントも紹介しますので、不動産投資としてサブリース契約を検討している方は、ぜひ最後までご覧ください。

サブリース契約はやめておけと言われる8つの理由

(画像:PIXTA)
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ここでは「サブリース契約はやめとけ」と言われる理由を8つ解説します。

 

・賃料が相場よりも安くなってしまう

・賃料を得られない期間が出てくる

・賃料の減額・契約終了のリスクがある

・原状回復やリフォーム費用を支払う場合がある

・オーナー都合で契約解除できないことが多い

・サブリース物件の売却は難しいことが多い

・入居者をオーナーが選ぶことができない

・サブリース会社が倒産するリスクがある

 

賃料が相場よりも安くなってしまう

サブリース契約では、サブリース会社が間に入るためオーナーに支払われる賃料は家賃相場の80〜90%程度に抑えられることが一般的です。これはサブリース会社が安定した収入を保証するためのコストとリスクをカバーする必要があるためです。

 

さらに、入居に関わる広告費などはサブリース会社が負担してくれますが、礼金や更新料などの追加収入はオーナーに還元されません。例えば、礼金を2ヵ月分に設定できる優良物件でも、その収入はサブリース会社の利益となりオーナーの収益にはなりません。

 

そのため、サブリース契約をすることで安定性を得られる一方で、総収入はそのまま貸し出す場合に比べて低くなってしまいます。

 

賃料を得られない期間が出てくる

契約内容に「免責期間」が設定されている場合、賃料を得られない期間が出てきます。免責期間とは、一般的にサブリース会社が入居者を募集するために設けられている期間のことです。新規の入居者を募集する際に一定期間(およそ1~3ヵ月)、サブリース会社から不動産オーナーへの借り上げ賃料を免除するという条件が含まれています。

 

免責期間中はオーナーに賃料が支払われず、ローンや税金などの支出のみが発生するため、経済的負担が大きくなることがあります。そのため、契約前に免責期間の有無とその条件を十分に確認し、リスクを理解することが重要です。

 

賃料の減額・契約終了のリスクがある

前述のように、サブリース契約をするとサブリース会社が物件の借主となります。すると、契約に関する交渉において「借地借家法」が適用され、オーナーがサブリース会社に対して不利な立場になることがあります。

 

借地借家法・第32条に「契約の条件にかかわらず、(中略)建物の借賃の額の増減を請求することができる」と記されていますが、サブリース契約において物件の借主(転貸人)はサブリース会社になります。そのため、「相場に比べて賃料が高い」などの理由があれば、いつでも賃料の値下げや契約更新の拒絶、解約申出ができます。

 

なお、契約書などの特約で賃料減額をしないと定めていたとしても、強行法規である借地借家法の第32条が優先されるため取り決めは無効となります。そのため、減額や契約終了の交渉を受ける可能性がある点には注意が必要です。

 

原状回復やリフォーム費用を支払う場合がある

原状回復やリフォーム費用が追加で発生するリスクもあります。契約条件によっては物件の修繕やリフォームにかかる費用をオーナーが負担しなければならない場合があります。

 

また、ワンルームマンションなど集合住宅の物件では、マンション全体の修繕積立金についても注意が必要です。修繕積立金が不足して追加の修繕費用の増額になると、月々の支出が増えて収益が悪化してしまいます。

 

こうした追加費用のリスクを理解し、契約書上で原状回復やリフォームに関する取り決めがどのようになっているかを事前に確認することが重要です。

 

オーナー都合で契約解除できないことが多い

正当事由がなければ、オーナー(貸主)からサブリース会社(借主)に対して更新拒絶が難しいということも問題視されるポイントです。これは前述した借地借家法が関係しています。

 

借地借家法・第28条に「建物の賃貸人による建物の賃貸借の解約の申入れは、(中略)正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない」と記されています。そのため、例えば「売却や収益拡大のためにサブリースを外して手取りを増やしたい」といったオーナー(貸主)側の理由では正当な理由と認められず、契約更新の拒絶、解約申出が難しいものとなります。

 

一方で、前述のようにサブリース会社は、借地借家法・第32条に従って賃料の値下げや契約更新の拒絶、解約申出をすることができます。

 

サブリース物件は売却価格が低くなりやすい

サブリース物件は売却価格が低くなりやすいと言われています。これは、サブリース物件はオーナーが得られる賃料が低く、高値で売却しようとしても投資利回りが低くなり買い手が付かないためです。

 

また、売却時にサブリース契約を外そうと思っても、前述のようにオーナーから解約することは難しいです。時には売却に合わせてサブリース会社から家賃の見直し(減額)を提案されることもあります。

 

入居者をオーナーが選ぶことができない

実際の入居者をオーナーが選ぶことができないという点もデメリットになります。サブリース会社が入居者選定や契約管理を担当するため、オーナーは入居者の選定や審査に関与することができず、誰が住むかを決定する権利がありません。

 

例えば、サブリース会社が安価な賃料で入居者を確保する場合は、オーナーの希望に沿わない入居者となってしまい、室内の使い方が荒かったり近隣住民と揉めたりなど、予期せぬトラブルが起きてしまうといったリスクもあります。

 

サブリース会社が倒産するリスクがある

万が一サブリース会社が倒産した場合には、家賃収入が途絶えてしまい、実際の入居者と直接契約をするなどの対応が必要になります。倒産の数ヵ月前からサブリース会社からのオーナーへの家賃が振り込まれないこともあり、そこから倒産してしまうとさらに回収が難しくなります。なぜなら、実際の入居者はサブリース会社に家賃を支払っているため、入居者から回収することはできません。一方で、当のサブリース会社が倒産してしまった場合には支払い能力がないため、回収不可能となる場合があります。

 

物件の所有者はあくまでオーナーですので、転賃者であるサブリース会社がいなくなっても不動産投資は続くこととなります。そのため、倒産した場合やトラブルの際には、弁護士等の専門家に相談することをおすすめします。

 

なお、以下の動画でより詳しくサブリース契約のリスクや注意点について解説しています。

 

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