年収3,000万円でも万一に対して備えなし…煌びやかな生活から転落
入院期間は2ヵ月に及び、さらにリハビリも。これまで「独り身だから好き勝手生きてきた」といいますが、ひとり頑張らないといけないなか、「あのとき結婚しておけばよかった」と、パートナーのいない現状を悔やんでいるといいます。
ただ今回、「大病をして大変だった」という話ではありません。本当に大変なことは、川口さんが入院&リハビリ中に発生。実は川口さんが勤めていた外資系企業が業績悪化につき事業部を見直し、そして川口さんは整理解雇となったのです。
当時、月収250万円・年収3,000万円と、誰もが羨む高給取りサラリーマンだった川口さん。華々しいのは仕事だけじゃなくライフスタイルも。住んでいたのは東京都心に建つタワーマンションの32階。ウォークインクローゼットがついた1LDKで、館内はスポーツジムも完備。家賃は月50万円。まさにハイクラス層だけが住むことが許される高級物件でした。
――地方出身なので、都心での暮らしに憧れがあり、また独身なので異性にちょっと格好つけたいというのも……正直ありました
そのような煌びやかな暮らしをしていたのに、一転、無職に。
――生きるか死ぬかという出来事に直面した人間に対し、「あなたを解雇します」ですから、血も涙もあったもんじゃありません
「不当解雇だ!」と争うこともできましたが、川口さんにそんな気力があるわけはなく、いくばくの退職金をもらい、会社を辞めることになったといいます。そこで困ったのは高額の家賃。
――お恥ずかしい話、入ったお金はほとんど使うという生活をしていたので、貯金らしい貯金はありませんでした。資産形成は50代になってからでいいかなと思っていたので
医療費の自己負担分と入院&リハビリ中の家賃を払うと、退職金はゼロに。今は雇用保険をもらうことができていますが、とても月50万円緒家賃を払うことはできません。「すぐに次の仕事、となればいいのですが、まだ前と同じように働けるわけではないので……仕方がありません」と川口さん。華々しい生活から、一転、現在は家賃7万円のワンルームマンション住まいだといいます。
――自分はいつまでも健康でいられる、自分は大丈夫と思っていたのですが、全然大丈夫ではありませんでした。最低限の保険には入り、最低限の貯金くらいはしていれば、こんなことにはならなかったのに
公益財団法人生命保険文化センター『2022年度生活保障に関する調査』によると、自分自身の将来のために、生活設計を立てている人は4割程度。また疾病入院給付金の支払われる生命保険の加入率は65.7%。3分の1は、「ちゃんと保険に入っていれば……」と後悔する人たちです。
日ごろ起こるかもしれない万一に対し、意外と備えができている人が多いのが現実。そこには「自分は大丈夫」という慢心があります。最低限、何かあっても、今の生活をしばらくは続けていけるだけの備えはしておきたいものです。
[参考資料]