元教員の最強夫婦が定年後にチャレンジしたのは…
夫婦で年金月36万円。退職金は合計4,500万円。毎月年金だけで生活ができ、しかも5万円のあまりも。単純計算、年金生活のなかでも1年で60万円、10年で600万円、20年で1,200万円の貯蓄ができるということ。まさに最強夫婦。現役時代とはまた異なる生きがいで、第二の人生を充実させることができます。
株式会社日本総研が国内の高齢者1,600名を対象に対して行った『高齢者の生きがい等意識調査2024』によると、「現在の楽しみや喜びを感じること」として最も多かったのが「国内旅行」で37.3%。「家族や友人など、親しい人たちのと団欒」37.1%、「読書、音楽鑑賞」20.5%、「家庭菜園・園芸・ガーデニング」18.5%、「日帰り観光」18.2%、「インターネットショッピング」13.8%と続きます。
伊藤さん夫婦の場合、「一度も海外旅行に行ったことがなかったので」と、定年後は初海外旅行を実現させることが、まずは老後の楽しみの第一。まっさきに実現させて、「また行こう」と盛り上がっていたといいますが、いまは「あまり派手なことはしないで、慎ましく生きていこう。私たち、元とはいえ、教員だったんだし」と、できるだけヒッソリとしているといいます。
いったい、何があったのかというと「暗号資産で多額の損失」。
――もともと興味があって、いつかはチャレンジしたいと思っていたのですが……
と浩一さん。ただ、いざ始めようとすると、いろいろな暗号資産があり、どうすればいいか、わからなかったといいます。そんなとき、たまたま暗号資産が取り上げられていたウェブ記事をみます。そこで紹介されていた暗号資産に興味がわき、いよいよ暗号資産を購入。
多くの人が初めて投資をする場合、または新しい投資手法にチャレンジをする場合、少額から腕試し、となるでしょう。しかし、最強夫婦の伊藤さんの場合は違います。1つの通貨にいきなり多額を突っ込みます。しかし、ここからはよくあるパターン。急激な下落に焦った伊藤さんは売却。1,000万円近い損失を被ったといいます。
暗号資産でも長期的な視点で分散投資を図ることが有効と、多くの専門家はアドバイスしていますが、それに反するカタチでひとつの暗号資産に多額の投資……大失敗の典型例です。
――またか、こんな短期間で1,000万円を失うとは……信じられません
――これからは暗号資産が来ると耳にしていたのに、私たちには無理でした
そう反省し、投資に限らず新しいモノにはのらない、質素に生きる、を実践していくのだとか。
金融広報中央委員会『金融リテラシー調査2022年調査』によると、株式、外貨預金・外貨MMFにおいて「商品性を理解せずに購入した人」の割合は株式で24.7%、投資信託で29.7%、外貨預金・外貨MMFで28.7%でした。調査では言及はありませんが、暗号資産においても、商品性を理解せずに購入している人は相当数いると考えられます。特に定年退所金を手にし、気持ち的に大きくなっているときは要注意。多額の損失を被り、あっという間に市場から退場、というケースは後を絶ちません。
[参考資料]