現役世代。一家を支える大黒柱が亡くなったとき、遺族が受け取れる遺族年金は、生活のベースとなる部分です。年金は要件を満たしている限り受け取れるものですが、人生の節目は要注意。想像していなかった「年金減額」という事態に、真っ青になってしまうことも。
同い年の月収65万円夫逝去→遺族年金「年160万円」も10年後には「ゼロ円」に妻、絶句。老後のプランニングが総崩れに「何かの間違いでは?」 (※写真はイメージです/PIXTA)

老後は「自分の年金+遺族年金」で考えていたが

このように、「意外ともらえる額が大きい」遺族年金。内山さんも「ずっと月13万円がもらえる」と考えて、この先をプランニングしているそうです。ただそこには大きな落とし穴があります。

 

まず説明した通り、中高齢寡婦加算は65歳になるまで。以降は受け取ることができません。月5万円ほどが減額となります。

 

そして妻も働いているなら、もうひとつ注意したいのが、「65歳以上で遺族厚生年金と老齢厚生年金を受ける権利がある場合、老齢厚生年金は全額支給となり、遺族厚生年金は老齢厚生年金に相当する額の支給が停止となる」ということ。つまり、老齢厚生年金-遺族厚生年金の差額だけ受け取れることになります。

 

内山さんの場合はどうでしょう。ねんきん定期便でチェックしていたところによると、このまま60歳まで働いた場合、65歳から受け取れる年金額は、併給の老齢基礎年金と合わせて、15万5,000円ほどだとか。

 

65歳以上で老齢厚生年金を受け取る権利がある場合、配偶者の死亡による遺族厚生年金を受け取るときは、「①死亡した人の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3の額」と「②死亡した人の老齢厚生年金の報酬比例部分の額の2分の1の額と自身の老齢厚生年金の額の2分の1の額を合算した額」を比べ、高いほうの額が遺族厚生年金の額となります。

 

内山さんの場合、①は8万1,000円ほど、②は8万4,000円で、遺族厚生年金は②の額となります。

 

さらに内山さんは自身で老齢厚生年金を受け取れるので、自身の老齢厚生年金と遺族厚生年金の差額分だけ、遺族年金は受け取ることができます。内山さんの老齢厚生年金は8万7,000円。つまり、遺族厚生年金の支給額はゼロ、ということになります。

 

今の感覚では、10年後、内山さんが年金生活に入った際、自身が受け取る年金に加えて、遺族年金月13万円もプラスして考えるでしょう。しかし、実際の遺族年金はゼロ。自身の年金だけで老後を考えないといけません。

 

――えっ、老後は遺族年金がゼロ? 何かの間違いではないですか? 

 

言葉を失う内山さん。自身の年金+遺族年金、合わせて30万円弱は受け取れると考えていたのですから、当たり前です。早々に老後のプランニングが総崩れ。いちから考える必要があります。

 

[関連記事]

日本年金機構『遺族年金』