平均的な大卒サラリーマンなら…遺族がもらえる年金額は?
――夫に万一のことがあったら
妻であれば、一度や二度、考えたことがあるはず。守らなければならない子どもがいればなおさらです。夫としては「俺が死んだときのことを考えるなんて……けしからん!」と不快に思うかもしれませんが、仕方がありません。
友人とランチを楽しんでいた際に、「夫が亡くなったら」という話になったという、小林綾香さん(仮名・32歳)。小林さんも友人も、同じくらいのタイミングで結婚をし、出産を経験。ふたりとも1歳になる男の子の子育てにてんやわんやの毎日を送っているといいます。この日、息抜きのために、夫に子育てを任せてランチを計画したのだとか。
話は子育てから、保険の話に。実は小林さん、保険らしい保険は未加入。一方で友人は、万一に対しての保障はバッチリだといいます。
――保険料って高いでしょ。それに夫が死んでも遺族年金があるでしょ?
内容が内容だけに、声を潜めて話す小林さんとその友人。
夫が亡くなった場合、公的保障として「遺族年金」が受け取れると耳にしたことがあったという小林さん。遺族年金は、国民年金に由来する遺族基礎年金と、厚生年金に由来する遺族厚生年金があります。それぞれに受給要件があり、受給対象者も異なりますが、年金保険料をしっかり納付しているサラリーマン夫が亡くなった場合、遺された子どものいる妻は遺族年金を受け取ることができるでしょう。
――でも、遺族年金だけだと心許ないよ。給与によって払っている年金保険料が変わって、万一のときの遺族年金も金額は変わるけど
――うちはいたって平均的な給与だと思うけど
小林さんの夫は2歳年上の大卒。厚生労働省『令和5年賃金構造基本統計調査』によると、30代前半の大卒サラリーマンの平均給与は月収で32.5万円、年収で549.3万円。万一、いま悲劇が起きたなら、いくら遺族年金が払われるのでしょうか。小林さんの友人、無料で使えるシミュレーターで計算をしていきます。
遺族基礎年金の受給額は、令和6年度「81万6,000円+子の加算額」。子の加算額は、1~2人目の子であれば各23万4,800円、3人目以降は各7万8,300円。遺族厚生年金の受給額は、死亡した人の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3の額。ただし、報酬比例部分の計算において、厚生年金の被保険者期間が300ヵ月未満の場合は、300ヵ月とみなして計算します。
ざっと計算したところ、小林さんが受け取れる遺族年金額はこちら。
●遺族基礎年金:105万0,800円(月8万7,000円)
●遺族厚生年金:50万5,600円(月4万2,000)
――単純計算だけど、月13万円くらいかな
――えっ、月13万円!?
言葉を失ってしまったという小林さん。もちろん児童手当等いろいろと合わさり、実際にもらえるのは月20万円弱になると見込まれます。しかし、それで残された家族が余裕のある暮らしができるかといえば心許なく、年齢があがるほどに負担が大きくなる子どもの教育費も十分賄えるかといえば、不安は残ります。
――やっぱり保険は必須かあ
前出の通り、生命保険の平均払込額は年40万円弱。平均的な家計のサラリーマンには痛い出費です。とはいえ、家族を支える夫に万一のことがあったら、生活は維持できない……背に腹は代えられないと、真剣に保険加入を検討中だといいます。
[関連資料]
公益財団法人生命保険文化センター『2021年度 生命保険に関する全国実態調査』