アメリカのIT企業による離職防止がきっかけとなって発祥した1on1。いまでは上司と部下の日常的なコミュニケーションの機会として、数多くの企業に導入されましたが、その定着度は、業種によってばらつきがみられるようです。本記事では、小川隆弘、氏による著書『成果が出る1on1 部下が自律する5つのルール』(ごきげんビジネス出版 ブランディング)から一部を抜粋・再編集して、1on1が定着しやすい企業風土について解説します。
一流大学の体育会系出身者が活躍する大手日本企業には難易度が高いが…社員が若く、転職者が多い新興企業では定着している「意外なこと」 (※写真はイメージです/PIXTA)

現場の上司・部下の1on1のむずかしさ

1on1は一般的に上司・部下の2名による対話です。実際には上司・部下以外によるものも実施されています。先輩・後輩、社内外のプロコーチなどとの1on1、自分が所属する課以外の上司とのナナメ1on1などいろいろです。ここでは上司・部下、つまり評価者と被評価者によるものに限定しています。その理由は、難易度が高いからです。日本人の場合、上意下達で上司に本音をなかなかいわないからこそ難易度が高くなります。

 

1on1実施者の関係性と企業形態によって考えられる1on1の難易度について、図表のように考えてみました。もちろん、すべてがこのとおりあてはまるわけではありません。上司・部下による1on1だけは、やや質が違い、難易度も
高いと考えてもよいでしょう。また、1on1の目的に成果を求める割合が高くなると、むずかしいと感じることが多くなります。

 

[図表]実施者の関係性と企業形態による1on1の難易度

 

ポイントは、会社によって1on1導入の目的が微妙に違うこと。主に「コミュニケーション改善」と「経験学習促進」の2つです。コミュニケーション改善を目的に導入して定着してくると、経験学習促進を目指す場合もあります。

 

 

小川 隆弘、

キャリアコンサルタント、コーチ、研修講師

 

※本記事は『成果が出る1on1 部下が自律する5つのルール』(ごきげんビジネス出版)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。