認知バイアスという言葉をご存じでしょうか? 「偏った考え方」のことで、「思考のクセ」や「思い込み」といいかえることもできます。認知バイアスのひとつである「正常性バイアス」は、FXと密接な関係にあって……。今回は、トレードの思考法における注意点について、株式会社ソーシャルインベストメントの清水一喜氏がアドバイスします。
「暴落」や「急変」をまったく怖がらないFXトレーダーがいるワケ【月利30%トレーダーが解説】 ※画像はイメージです/PIXTA

正常性バイアス克服のコツ

FXトレーダーにとって大きな課題になり得るバイアスは、日々のトレードを工夫することで克服することができます。認知バイアスに陥らないために重要なことは、俯瞰した姿勢を保ち続けることです。初心者トレーダーの多くは一度新規のポジションを持つと、自分のポジションの損益にしか目がいかなくなります。含み損と含み益に一喜一憂し、相場の本質となる経済の動きやリスク管理を疎かにしてしまいます。収益だけにこだわっているとトレードスキルは向上しません。

 

先述したとおり、トレーダーにとって大きな課題となるバイアスを克服することが、トレーダーとして成長するために必要なことです。バイアス克服のために必要な俯瞰した姿勢は、トレードの前、中、後それぞれの段階で意識的に鍛えることができます。

 

トレード前には、なぜこのポジションを取ろうとしているのか、根拠を明確にすることで感情的な判断を回避できます。トレード中は、前に立てたトレード計画と実際のチャートを比較し、差異はないか確認し、上手くいっていない場合はなぜ上手くいっていないのか分析します。トレード後には、計画と結果を比較して改善点を見つけ出すことで、次回のトレードに活かすことができます。

 

このように、トレードの過程を客観的に分析することで、少しずつ相場を俯瞰して捉える力が身につきます。

正常性バイアスを知っておくことで対策がとれる

今回は、FXトレーダーが注意するべき正常性バイアスについて解説しました。正常性バイアスのなかでも、「自分だけは大丈夫」と考えてしまう正常性バイアスの危険性について解説しました。正常性バイアスは誰にでも起こり得る現象で、知っているかいないかで、トレードにおよぼす影響が大きく変化します。プロトレーダーですら未来で起こることを100%予測することはできません。

 

初心者トレーダーに求められることは、相場の流れに対応し、自分のトレード戦略を柔軟に変えていくことです。俯瞰した相場観でトレードを実行することで、地道に利益を積み重ねることができます。利益が安定しない初心者トレーダーはぜひ、自分のトレードを振り返って、自分よがりのトレードを繰り返していないか確認するとよいでしょう。

 

 

清水 一喜

株式会社ソーシャルインベストメント

執行役員