「私だけは大丈夫」「みんなが動いていないし大丈夫」
社会心理学の用語で「正常性バイアス」という言葉が存在します。火災時や震災時に、「私だけは大丈夫」や「みんなが動いていないし大丈夫」と錯覚してしまうことが正常性バイアスの例として挙げられます。日常生活で起こる正常性バイアスは、危険な状態であってもなにも行動を起こさない要因となり、命の危険や二次災害につながる心理状態です。正常性バイアスのような認知に関する心理状態は無意識のうちに起こるため、緊急時には状況を俯瞰して捉えることが非常に大切です。
日常生活での正常性バイアスについて解説しましたが、FXにおいても正常性バイアスは起こり得ます。次にFXトレーダーが正常性バイアスに陥ってしまうと、どのような弊害があるのかを解説します。
トレード中に正常性バイアスに陥ったFX初心者
FXトレーダーが正常性バイアスに陥ると、突然大きな損失に巻き込まれる可能性が非常に高くなります。FXを長い期間続けていると、ほぼ必ずといっていいほど相場の急変に立ち合います。コロナのパンデミックや国家間の対立など、世界情勢には予測できない事態が数多く存在します。FXを続けている限り、このような世界的な情勢不安と共存しなければいけません。
しかし、一部の初心者トレーダーは、「自分は相場の急変が起きても大丈夫だ」と思う傾向があります。さらに、FXを続けていても相場が急変するような世界情勢の転換に立ち会うことはないと考える人もいます。「自分だけは大丈夫」という考え方は根拠が薄く、確実性がありません。確実性のない信念を抱いていると、いざ相場の急変が起きて、自分のポジションが含み損に溢れてしまった際に、なにをすればいいのかわからず、パニックに陥ってしまいます。
さらに、そのような混沌とした場面で正常性バイアスに陥っていると、「いずれ情勢が回復するし大丈夫だろう」など、自分の置かれた危険な状態を肯定しようとします。コロナ禍を経てリモートワークが常識になったように、ひとつの変化がその後の未来を大きく変えてしまう可能性があります。そのため、「いずれは回復するから大丈夫」という考え方はトレーダーにとって非常に危険な考え方であり、大きく資産を減らす可能性を含んでいます。
FXトレーダーにとって正常性バイアスは克服しなければいけない重要な課題なのです。