福岡県の県庁所在地である福岡市は、人口増加や再開発プロジェクトなどに伴い不動産市場が急速に発展しており、不動産投資の魅力的なエリアとして注目されています。本コラムでは、福岡市の不動産市場の現状や不動産投資の際に注意すべきポイントについて詳しく解説します。

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福岡の不動産市場の現状

(画像:PIXTA)
(画像:PIXTA)

 

福岡市は日本の中でも経済成長が著しく、再開発プロジェクトが次々と進行している都市の一つです。特に注目されているのが、天神地区で進行中の「天神ビッグバン」や博多駅周辺の「博多コネクティッド」など、大規模な都市再開発プロジェクトです。これらのプロジェクトは都市のインフラを大幅に改善し、ビジネスや居住の利便性を向上させています。

 

また、福岡市の人口は増加傾向で、特に若年層の移住が顕著です。福岡市は九州の経済・文化の中心地でもあり、多くの企業や観光客が集まる場所です。商業施設やホテルの需要も高く、さまざまな面で不動産投資の機会が広がっています。

 

ここからは以下の点を中心に福岡市の不動産市場の現状を詳しく解説します。

 

・人口増加
・若年層の多さ
・再開発プロジェクト
・経済規模
・交通の利便性
・観光需要

 

人口増加

福岡市は、日本の大都市の中でも特に人口増加が著しい都市の一つです。公益財団法人福岡アジア都市研究所が発行する「FUKUOKA GROWTH 2024」によると、2015年から2023年の福岡市は人口増加率が6.75%で、日本の21大都市(20政令指定都市と東京特別区)よりも高い数値です。21大都市の半数が減少を続ける中、福岡市が最も成長を続けている都市といえます。

 

この人口増加は新たな住宅需要を継続的に生み出し、不動産投資にも大きな影響を与えています。特に若年層の流入により賃貸住宅市場が活性化し、地価や家賃の上昇につながる可能性が高く、投資価値の向上も期待できます。
 

出典:公益財団法人福岡アジア都市研究所「FUKUOKA GROWTH 2024)」

 

若年層の多さ

人口増加の中でも若年層の割合が多いことも福岡市の特徴の一つです。若年層が多いことは都市に活気を生み出し、商業施設やエンターテインメント施設への需要なども高まるため、重要な要素です。

 

「FUKUOKA GROWTH 2024」によると、福岡市は日本の21大都市の中で15〜29歳の人口割合である若者率が最も高く、17.6%に達したことが明らかになっています。ちなみに東京23区は16.9%、大阪市は16.5%となっています。また、多数の大学が集中しており学生人口が多いことに加え、就職や転職で福岡市に移住してくる若手社会人も多く見られます。

 

このような若年層の増加によって、商業用不動産の価値が向上し、投資需要が増加するだけでなく、投資の多様性も広がります。また、将来的な人口維持や経済成長にも寄与し、長期的な投資の安定性を高める可能性もあるでしょう。

 

出典:公益財団法人福岡アジア都市研究所「FUKUOKA GROWTH 2024)」

 

再開発プロジェクト

現在、福岡市では「天神ビッグバン」や「博多コネクティッド」といった大規模の再開発プロジェクトが進行中です。これらのプロジェクトは、都市の魅力を高め、オフィス需要や住宅需要の増加を促進しています。特に、天神地区と博多駅周辺の再開発は、不動産価値の上昇につながる可能性も期待でき、投資家にとって注目すべき地域となっています。

 

「天神ビッグバン」は、福岡市中央区の天神エリアを対象とした大規模な都市再開発プロジェクトです。このプロジェクトの主な目的は、警固断層のリスクに対応しつつ、老朽化したビルを耐震性の高い先進的なビルに建て替えることで、市民や訪問者の安全・安心を確保することです。具体的な開発の一例として19階建ての大型複合ビルの建設が進行中で、2024年12月の完成を予定しています。このビルには、商業施設、オフィス、ホテルなどが入居し、地域の活性化に貢献すると期待されています。また、最上階には博多湾を一望できるレストランも計画されており、新たな観光スポットとしても注目されています。

 

「博多コネクティッド」は、博多駅周辺の大規模な再開発プロジェクトです。耐震性の高いビルへの建て替えや歩行者ネットワークを拡大するとともに、博多旧市街との回遊性を高めることで、博多駅を中心とした都市機能の向上と地域の活性化を目指しています。「博多コネクティッド」の具体的な開発の一例として「コネクトスクエア博多」というオフィスビルが挙げられます。このビルは2024年3月に完成しており、1階にはイタリアンテイストのカフェレストランが入居し、筑紫口の賑わいの場となっています。

 

経済規模

福岡市の経済規模も注目すべき要素です。「FUKUOKA GROWTH 2024」によると、2020年の福岡市は日本の21大都市の中で5番目の経済規模で、地方都市では最大の7.17億円となっています。これは福岡市よりも人口の多い札幌市よりも大きな数字です。

 

また、福岡市経済観光文化局の「福岡市経済の概況(令和6年3月)」によると、令和2年度には新型コロナウイルスの影響により市内総生産が落ち込んだものの、経済活動が正常化しつつある現在では、インバウンド需要の回復や人口増加、再開発プロジェクトなどにより、市内総生産は再び成長軌道に乗りつつあります。

 

福岡市はIT・デジタル関連企業の進出が活発で、スタートアップ企業の育成にも力を入れています。例えば「Fukuoka Growth Next」は、スタートアップ企業を支援する施設として多くの起業家や投資家に利用されています。

 

経済規模の大きな都市には人口が集中する傾向があるため、オフィス需要の増加や住宅需要の拡大をもたらし、不動産市場に大きな影響を与えます。特に、天神や博多駅周辺の再開発が進行している経済エリアは、オフィスビルや商業施設の需要が高まっています。また今後、福岡市の経済成長が持続すれば、将来的な不動産の価値上昇が期待できるため、長期的な投資先としてより魅力的になっていきます。

 

出典:公益財団法人福岡アジア都市研究所「FUKUOKA GROWTH 2024)」

 

交通の利便性

交通の利便性も福岡市の不動産投資の成功率を高める重要な要因の一つです。福岡市は3路線の地下鉄網、充実したバス網、JR線、そして市街地から近い福岡空港など、優れた交通インフラを有しています。特に2023年3月に七隈線が博多駅まで延伸し、利便性がさらに向上しました。

 

このような交通の利便性は、賃貸物件や商業施設の需要を高める要因となります。駅やバス停から近い物件は特に人気が高く、空室リスクが低くなるため、投資物件として非常に魅力的です。また、交通の便が良いエリアは将来的にも価値が維持されやすく、安定した投資収益を期待できます。

 

観光需要

福岡市への注目が世界的に高まっており、福岡市を訪れる人々が増え続けています。「FUKUOKA GROWTH 2024」によると、2019年には福岡空港の利用者数が年間約2,500万人に迫り、過去最高を更新し続けていました。コロナ禍により一時的に利用者数が大きく減少したものの、世界的に移動制限が緩和される中で急速に回復し、2023年にはほぼコロナ前の水準に戻っています。現在、福岡空港の乗降客数は国内で3位を誇り、国内外を問わず、特にアジアを中心とした多くの国際便が運航され、福岡市は多くの人々にとって魅力的な観光先となっています。

 

観光客の増加は、ホテルや飲食店、商業施設などの需要を高め、不動産市場にも良い影響をもたらします。特に、観光客が多く訪れるエリアでは、ホテルや短期賃貸物件の需要が高まり、投資物件としての魅力が増すでしょう。

 

出典:公益財団法人福岡アジア都市研究所「FUKUOKA GROWTH 2024)」
 
出典:公益財団法人福岡アジア都市研究所「FUKUOKA GROWTH 2024)」

 

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