高年収でも「奨学金の返済負担」を感じているという事実
さらに竹山さんの家計をひっ迫させているのが、奨学金の返済です。
中央労福協が日本学生支援機構の奨学金を利用し、現在それを返還中の人を対象に行った『奨学金や教育費負担に関するアンケート調査』によると、奨学金の借入額は平均310万円。また毎月の返済額は月1.5万円でした。また返済に関して4割が「苦しい」と回答。困窮具合は年収で左右されますが、竹山さん同様「年収300万円~400万円未満」では5割弱が奨学金返済が大きな負担になっていると回答。さらに大卒サラリーマンの平均年収、600万円台になっても3割強の人が奨学金返済に負担感を覚え、さらに8人に1人は「かなり苦しい」と窮状を訴えています。
【年収別「奨学金返済」負担感】
年収200万円~300万円未満…55.2%(27.7%)
年収300万円~400万円未満…48.9%(19.2%)
年収400万円~500万円未満…41.9%(22.6%)
年収500万円~600万円未満…41.3%(15.9%)
年収600万円~700万円未満…34.7%(12.6%)
年収700万円~800万円未満…32.7%(10.5%)
年収800万円~900万円未満…28.0%(8.5%(
年収900万円~1,000万円未満…36.4%(16.9%)
年収1,000万円以上…29.0%(12.3%)
※数値は「かなり苦しい」と「少し苦しい」の合計、(かっこ)内は「かなり苦しい」のみの数値
30代後半くらいまでかかる奨学金の返済。なかには結婚したり、子どもが生まれたりとライフステージが変化している人もいるでしょう。そうなると、奨学金返済にあてる月1.5万円でも、大きな負担を感じるようになります。
大学を卒業したばかりで社会人経験が浅く給与も低い。奨学金の返済が苦しいのはいまだけ……そう歯を食いしばっている人たちにとって、いまよりも給与が良くなっても、奨学金の返済負担からは逃れられない(というケースもある)という事実には、絶望感を覚えるかもしれません。
地方から大学進学のために上京をしてきたという竹山さん。「その先の就職を考えると、地元の大学よりも東京の大学のほうが有利だから」というのが上京の理由。家の経済的な事情を鑑みて、奨学金を利用し、アルバイトをしながら、大学に通ったといいます。しかし、この先も奨学金返済に苦しむ、地獄のような日々が続くかもしれません。
――こんなことなら大学なんていかなきゃ良かった
竹山さんのように、奨学金返済の負担感が、その先のライフイベントに大きな影響を与えていることがクローズアップされています。昨今は、返済不要の給付型奨学金も増加。また福利厚生の一環として、奨学金返済を肩代わりするという企業も増えています。
進学したことを後悔することのないよう、返済のことも見据えて賢く奨学金を利用したり、キャリアを考えたりしたいものです。
[参考資料]