今回の主役は、パートを減らして家族との時間を増やすために、FXのデイトレードを始めた44歳のパート主婦。家族との時間を増やすはずが、相場から目が離せず家族よりもFX優先の生活に。原因はいったい何だったのでしょうか? 本稿では、テクニカル分析の解説サイト『テクニカルブック』を運営する株式会社アドバンの代表取締役・田中勇輝氏がその様子を詳しく分析し、FXと上手く付き合うためのポイント5つを紹介します。
44歳パート主婦が後悔…軽い気持ちで始めた「FX投資」が原因で家族が大激怒したワケ (※写真はイメージです/PIXTA)

スキルを高める上で重要な「トレード経験」

佐藤さんのような失敗を避けるためには、どのようなスキルアップ方法が効果的なのでしょうか?FXで安定的に利益を上げている人を対象にした弊社の調査では、次のような興味深い結果が得られました[図表1]。

 

[図表1]

 

このグラフは、FX上級者が考える「取引成績が安定しないFXトレーダーがスキル向上するための効果的な方法」を示しています。最も支持されたのは「過去チャートを使用した練習や振り返り」で42.5%、次いで「少額の実戦トレード」が40.6%となっています。この結果からは、リスクの少ない環境で取引経験を積むことの重要性がうかがえます。

 

佐藤さんのケースを考えると、少額資金で実戦トレードを繰り返していたという点で、努力の方向性自体は間違っていなかったといえそうです。しかし、「負けてお金を失うのは絶対にイヤ」というプレッシャーに弱い性格を踏まえると、まずは過去チャートを使用した振り返りや練習を中心に取り組んでいた方が、良い結果につながりやすかったと考えられます。

 

トレード経験を積むことが重要となるFXですが、自分の性格や置かれている状況を踏まえて、無理なく取り組める方法を選択することが大切といえるでしょう。

 

FXと上手く付き合うための5つのポイント

FXは手軽に始められる投資手段ですが、佐藤さんのケースのように家族関係の悪化を招くこともあります。最後に、生活とのバランスを保ちながら、FXと上手く付き合っていくためのポイントを紹介します。

 

1.「生活第一」を意識する

 

FXが原因で、他にやるべきこと(家事、仕事など)が疎かになっては本末転倒です。あくまでも最も大切なのは自分自身の生活であり、FXはそれを豊かにするための手段に過ぎないことを意識しましょう。

 

2.いつ取引するのか、ルールを決める

 

FXは、土日を除いて基本的に24時間取引することが可能です。これはメリットでもありますが、やり過ぎにつながりやすい側面もあります。自分の生活パターンを踏まえて、FXの取り組み方について、無理のないルールを決めておくといいでしょう。

 

3.スキル向上のために経験を積む

 

FXで安定した成績を出すには、一定のトレードスキルが必要と考えられます。そのためには、できるだけ多くのトレード経験を積むことが効果的。まずはたくさんのトレードをこなして、スキル向上を目指すことが大切です。

 

4.負けても受け入れられる金額でトレードする

 

FXを始めたばかりの頃は、誰しもトレードスキルは身に付いていないはずです。例外も多々ありますが、基本的には勝ちにくいと考えられます。いきなり大きな勝負をせずに、負けても受け入れられるような金額でトレードを行うようにしましょう。

 

5.過去チャートを使った振り返りや練習も行う

 

過去チャートを活用すれば、ノーリスクでリアルトレードよりもたくさんの経験を積むことが可能です。過去チャートを再生してシミュレーションできるようなツールやアプリもあるので、こういったものも上手に活用しながら、効率良くスキル向上を目指すといいかもしれません。

 

以上の5つを意識することで、佐藤さんのような失敗は避けることができるはずです。

 

FXは、安定した副収入につながる可能性もある投資手段ですが、付き合い方を間違えるとお金以上に大切なものを失うことにもなりかねません。生活とのバランスを保ちながら、着実にスキルを磨いていくことを心がけていただければと思います。