詐欺の被害に遭わないための基本的な対策
不自然な高収益は警戒する
不動産投資では、常識はずれな高収益を謳う案件には十分な注意が必要です。一般的に、不動産投資の年間収益率は、マンションであれば3%から5%ほどであり、これを大きく上回る収益率(例えば年間10%以上の利回りなど)を謳う物件には、物件自体やその物件周辺の環境などに何らかの問題がある可能性を疑いましょう。
このような高収益を掲げる業者は、物件の価値を過大に見積もっていたり、修繕コストや固定資産税等の支払いや空室リスク、家賃下落などを加味していなかったりする可能性があるため、まずは自分で徹底的に調べてみる必要があります。
不動産会社を入念に調査する
不動産投資を行う際には、取引を行う不動産会社の信頼性を確認することが重要です。特に、知名度の低い会社や新興の会社と取引を行う場合には、より慎重な調査を行いましょう。
まずは、国土交通省のWEBサイト「宅地建物取引業者情報提供サービス」で、その会社が正規の免許をもっているか確認します。さらに、その会社の過去の取引実績や顧客評価を調べることも重要です。
また、その会社が所属している業界団体(全日本不動産協会や全国宅地建物取引業協会連合会)に問い合わせを行い、会員資格の有無や過去のトラブル歴などを確認するのもおすすめです。
投資物件を確認する
不動産投資では、契約前に現地確認を行いましょう。物件の外観だけでなく、エントランスなどの共用部や室内状況、周辺環境、交通アクセスなどを直接確認することで、書類や写真だけではわからない情報を得ることが可能です。
ただし、中古マンションへの投資など、すでに入居者がいる場合には必ずしも室内を確認できないケースもあります。そのような場合には、同じマンションの他の空室物件を見せてもらったり、詳細な写真や360度ビューの提供を依頼したりするなど、可能な限り物件の実態を把握できる資料を収集するようにしましょう。
専門家に相談する
不動産投資は複雑で専門的な知識を有する分野であり、個人ですべてを把握し、判断することは困難です。そのため、無理に自力で全て判断するのではなく、外部の専門家に相談するのもおすすめです。
不動産鑑定士に相談すれば、物件の適切な価格や将来的な価格変動について専門的な見地からアドバイスを受けることができ、税理士や公認会計士に相談すれば節税面についてアドバイスを受けられます。
これらの専門家への相談には費用がかかりますが、例えば1棟マンションのような大きな物件への投資を検討している場合などは、将来的な損失やトラブルを防止するための必要経費と考えれば、十分に価値のある支出といえるでしょう。
契約書のリーガルチェックを依頼する
リーガルチェックとは、法的な観点から契約書の内容に問題ないか確認する業務になります。不動産投資では、契約書の内容が極めて専門的であり、内容も多岐にわたります。そのため、契約締結前に弁護士によるリーガルチェックを依頼することも検討してみましょう。
リーガルチェックをすることによって、解約条件、賃料保証の詳細、修繕費の負担、固定資産税の扱いなどについて、専門的な見地から助言を受けられます。
リーガルチェックにも費用が必要となりますが、大きな金額の投資を行う場合には将来的なトラブルや損失を防止するために重要な投資と考えてもよいかもしれません。
詐欺の被害に遭ってしまった場合の対処法
ここでは、詐欺の被害に遭ってしまった場合の対処法について解説します。被害金額を取り戻せる可能性を少しでも高め、同様の被害を生み出さないためにも、冷静かつ迅速に行動することが重要です。
速やかに警察や行政機関に通報する
詐欺被害に気づいたら、早急に警察と消費者庁に通報しましょう。通報する際には、契約書や領収書、メールのやり取りなど、詐欺の証拠となる資料をすべて持参すると、その後の手続きがスムーズに進みます。
関係各所への通報は、今後の被害の拡大を防ぐためだけではなく、専門機関による証拠の差し押さえ・保全を依頼するという観点からも重要です。早急に捜査が行われれば、被疑者の逮捕や、被害金額を差し押さえられる可能性も高くなります。
弁護士に相談する
不動産投資の被害にあった場合には、早急に弁護士にも相談しましょう。弁護士に相談することで、法的な観点から被害の実態を分析し、取るべき法的手段を明確にすることが可能です。
弁護士は加害者の資産状況を調査し、差し押さえることも可能なため、被害金額を取り返せる可能性もあります。また、弁護士が被害状況や証拠をまとめることで、警察や行政機関による調査がスムーズに進む可能性も高くなります。
他の被害者と情報を共有する
投資セミナー詐欺など、他の詐欺被害者との連絡がとれる場合には、他の被害者との情報共有も重要です。同様の被害に遭った人々と連携することで、より多くの情報を集めることができ、詐欺の手口や加害者の実態をより詳細に把握できます。
被害者グループを結成することで、共同で弁護士に依頼でき、個人で対応するよりも費用を抑えられる可能性もあります。また、グループとして行動することで、メディアや行政機関の注目を集めやすくなり、問題解決の圧力を高められる点も期待できます。