テクニカル分析専門サイト『テクニカルブック』は、FXに取り組む人の特徴や抱える課題を調査する目的で、20歳以上の男女10,168名を対象にアンケートを行いました。本調査からは、FXに関心を持つ人の割合に対して、取引率が低くとどまっている実態が見えてきました。
FXに「興味あり」は33.1%だが、実際に取引している人はわずか5.9%…投資の実態調査から見えてきた課題とは? (※写真はイメージです/PIXTA)

3.FXトレーダーの50.7%が日常的に取引を行っている

[図表7]どの程度の頻度でFXの取引を行っていますか?
[図表7]どの程度の頻度でFXの取引を行っていますか?

 

現在、FXに取り組んでいる人を対象に、どの程度の頻度でFXに取り組んでいるか質問したところ、「一日に複数回以上」という回答が27.7%で最も多いという結果でした。「ほぼ毎日」の23.0%と合計すると5割を上回っており、半数以上の現役トレーダーが日常的にトレードを行っていることがわかります。

 

先述のとおり「現在、FXの取引を行っている人」は5.9%と多くはありませんでしたが、取引をしている人は非常に熱心にFXに取り組んでいるといえそうです。

 

4. FXで安定的に利益を獲得している人は11.6%、スキル不足が52.9%

本調査では、FXに現在取り組んでいる人を対象に、自分自身のFXスキルを以下の5つから選択してもらいました。

 

  • 開始直後:取引を開始し、基本的な知識を学んでいる。
  • 初級者:取引経験があり、基本戦略を理解しているが、まだ安定した利益は得られていない。
  • 中級者:資金管理と自己ルールを設定し、一定の利益を得ているが、年間で見るとプラスにはできていないことがある。
  • 上級者:安定した利益を得ている。
  • プロ:安定した利益が生活費を大きく上回りFXのみで生活することも可能。

 

以下のグラフは、この結果をまとめたものです。

 

[図表8]FXスキルの自己評価を教えてください
[図表8]FXスキルの自己評価を教えてください

 

最も多いのは「初級者」で36.9%、これに「中級者」が35.6%で続くという結果になりました。3位は「開始直後」で15.9%です。「開始直後/初級者」を合計すると52.9%で、半数以上がスキルが不足している状態といえます。

 

「中級者」はFXで安定した利益を得るには一歩届きませんが、一定のスキルが身に付いている状態です。このレベルに該当する人は多く、丁寧に取り組めば十分に到達できる水準と考えられます。「開始直後/初級者」の人が「中級者」にステップアップできるかどうかが、FXを継続する上でのひとつの分岐点になりそうです。

 

なお、「上級者」は10.9%、「プロ」は0.7%と、およそ10人に1人ではありますが、安定して利益を得ている人もいるようです。このレベルに到達するためには、個人の素質や大きな努力が必要と考えられますが、可能性は十分にあるといえるでしょう。

 

5.FXで抱える悩みは「取引成績」が45.1%で最も多い

最後に、FXについて抱える悩みを質問した結果です。

 

[図表9]FXについて抱えている悩みを全て選択してください
[図表9]FXについて抱えている悩みを全て選択してください

 

最も多かったのは「取引成績が安定しない」で45.1%で、2位を大きく引き離しています。2位は「取引金額(取引量)を増やせていない」で35.4%、3位は「精神的な負担が大きい」で29.4%となりました。利益をあげるためにFXに取り組んでいる以上、取引成績の悩みが大きいのは自然な結果といえそうです。

 

この悩み解消に直結するのはやはりFXのスキル向上であり、そのためのサポートに対するニーズは大きいと考えられます。

 

なお、2位の取引金額が増やせない問題については、その主たる原因がトレーダーのFXスキルにあるケースと、運用資金の規模にあるケースが考えられます。この点については、今後、追加で分析調査を行う予定です。

まとめ

今回の調査結果をまとめると以下の通りです。

 

  • FXは知名度に対して、現在取引している人の割合が少ない
  • 現役のFXトレーダーの半数が日常的に取引を行っており、非常に熱心
  • FXは半数以上がスキル不足で、スキル向上のサポートが望まれる
  • FXでは取引成績で悩んでいる人が特に多い

 

この結果からは、FX人口の拡大と健全な発展のためには、特にFXの初級者が安心して取引しやすい環境づくりの重要性が読み取れます。FX業界全体でスキル向上のサポートに取り組みながら、トレーダーの満足度向上を目指す必要があるでしょう。