「俺、ショートスリーパーだから」「寝不足の分、土日に寝だめして取り返す」など、眠りに纏わるさまざまな定説がありますが、最新の研究では、覆されたものも多いようで……。本記事では、睡眠研究の第一人者・柳沢正史氏の書籍『今さら聞けない 睡眠の超基本』(朝日新聞出版)より一部を抜粋・再編集し、本当に効果的な睡眠について解説します。
自称ショートスリーパーはほぼ睡眠不足
ショートスリーパーとは、1日およそ5時間以下という短い睡眠時間で健康な状態を維持できる人のこと。一部の本や情報では、訓練次第でショートスリーパーになれると言われていますが、必要な睡眠量は遺伝子によって決まるため、訓練で変えることはできません。そのため、ほとんどの人が「自称ショートスリーパー」と言ってもよいでしょう。
ショートスリーパーを自称する人は、睡眠不足の自覚症状が出にくい傾向がある人と言えます。実際には十分な睡眠がとれていないため、本来のパフォーマンスが発揮されていないだけでなく、健康にも悪影響を及ぼす可能性があります。
真のショートスリーパーは数千人に1人
「芸能人のAさんは3時間しか寝なくても平気」など、睡眠時間の短さはよく自慢話として話題に上がりますが、実際には、3時間の睡眠で十分という人はほとんどいないことがわかっています。
「眠気を感じにくい」という性質の人はいます。自覚症状がないために、「自分は睡眠が短くても平気だ」と思い込みやすいのですが、実際には短い睡眠で身体に負担がかかっているため、将来的に健康を損なうリスクは高まります。
ごく稀にいるショートスリーパーとロングスリーパー
ナポレオンの睡眠時間は3時間程度だったと言われています。ただし、短い昼寝を数回していたという説もあり、本当のショートスリーパーかどうかは不明です。一方、物理学者のアインシュタインは毎晩10時間以上の睡眠を必要とするロングスリーパー。誰にも睡眠を邪魔されないように、寝室にはカギをかけていました。