なせ日本では「生涯結婚しないおひとり様」が増えているのか
国立社会保障・人口問題研究所によると、日本人の生涯未婚率は2020年、男子28.25%、女性17.81%と過去最高を更新。男女ともに、この20年で急激に増加しました。
「生涯未婚率」は、「45~49歳」と「50~54歳」の未婚率の平均値から「50歳時」の未婚率=結婚したことがない人の割合を算出したもの。厳密に言って、生涯を通して未婚でいる人の割合を示すものではありませんが、50歳時点で結婚したことのない人が、この先、結婚をするケースは少ない、ほぼイコール、と考えていいでしょう。
もちろん、あくまでも結婚という形態にこだわった数値であり、「生涯シングル=パートナーがいない」というわけでもありません。ただ内閣府『令和2年度少子化社会に関する国際意識調査』で、日本・フランス・ドイツ・スウェーデンの4ヵ国で結婚観について調査した際、欧州3ヵ国の結婚をしない理由として最多だったのが「必要を感じないから」でいずれも50~60%だったのに対し、日本の場合は「適当な相手が巡り合わないから」が最多で50.5%でした。
また「独身の自由さや気楽さを失いたくない」という回答が、フランスでは20.8%、ドイツでは14.1%、スウェーデンでは8.9%だったのに対し、日本では38.6%と突出して高いのも特徴です。
日本ではよく「結婚へのメリットを感じられない」と耳にするようになりましたが、欧州では結婚には興味はないものの家族や子どもを持ちたいという意識は強いことが分かります。
井上修さん(仮名・73歳)も、生涯未婚(になりそうな)のひとり。現在、コンビニエンスストアで週4日でアルバイトをしながら、忙しく過ごす毎日だといいます。
こう聞くとこれまでずっとフリーターで、高齢者になった今でも働かないと暮らしていけない人をイメージしますが、実は井上さん、元・大企業で本部長まで務め、海外をまたいで仕事をしていたという元エリート。
――まったく、惨めなもんですよ
50歳以上も離れた先輩バイトに、ときに怒られることもあるその姿からは、勝ち組のオーラ―はまったくありません。