様々な脳の病気により、脳の神経細胞の働きが徐々に低下することで認知機能が低下して社会生活に支障をきたした状態である認知症。体は元気というケースも珍しくはなく、ほかの介護とは違う難しさがあります。ときに驚愕の事件が起きることもあるようです。
「主人が待っているので」と年金14万円・76歳母が忽然と消えて…老人ホームで起きた大騒動「驚きの結末」 (※写真はイメージです/PIXTA)

認知症の家族の介護…ひとり抱えてしまう自滅パターン

年齢とともに認知症の罹患率は高まっていきます。内閣官房の資料によると、70~74歳で4.1%だった認知症有病率は、75~79歳で13.6%、80~84歳で21.8%、85~89歳で41.4%と上昇。さらに男女別にみていくと、女性のほうが有病率は高く、80代後半では男性35.0%に対し、女性は43.9%となっています。

 

また認知症患者の今後の推移については、各年齢の認知症有病率が一定の場合2025年に675万人、2030年には744万人、2040年には802万人と、高齢者の5人に1人は認知症。さらに各年齢の認知症有病率が上昇する場合では、2040年に953万人、高齢者の4人に1人が認知症を発症するとされています。

 

当然、親が認知症に……という人も増えていくでしょう。もし家族が認知症になったら……公益社団法人認知症の人と家族の会では『「認知症」の人のために家族が出来る10ヵ条』を以下のように紹介しています。

 

1.見逃すな「あれ、何かおかしい?」は、大事なサイン。

2.早めに受診を。治る認知症もある。

3.知は力。認知症の正しい知識を身につけよう。

4.介護保険など、サービスを積極的に利用しよう。

5.サービスの質を見分ける目を持とう。

6.経験者は知恵の宝庫。いつでも気軽に相談を。

7.今できることを知り、それを大切に。

8.恥じず、隠さず、ネットワークを広げよう。

9.自分も大切に、介護以外の時間を持とう。

10.往年のその人らしい日々を。

 

家族が認知症となったとき、その介護負担で家族全員が共倒れ、というケースは珍しくありません。いかに認知症を知り、いかにまわりに協力を仰ぐかが重要のようです。

 

認知症の母親(76歳)をもつ佐々木聡子さん(仮名・54歳)もまた、“家族の10ヵ条”の通りと実感するひとり。母親の認知症が発覚したのは4年ほど前。当初は必要なときにサポートする程度でしたが、症状が進行するに従い、サポートが介護となり負担は大きくなっていきました。仕事と介護の両立は大変でしたが、ひとり、その負担を抱え込んでいたといいます。

 

そんなとき、母親がひとり外出したきり戻ってくることができず、隣町で保護されるという事件が起こります。保護されるまで、気が気でなかったという聡子さん。発見されたときにひとりで抱え込むこと、在宅で介護を続けることに限界を感じたとか。

 

――これ以上、ひとりで抱え込んでいたら自分も倒れてしまう

 

こうして、母親を老人ホームに預ける決意をしたといいます。