「新NISA」が始まってから初めての暴落が起こりました。その後、暴落前の水準まで回復していますが、新NISAで投資を始めた初心者のなかには「やっぱり投資は怖い」「やらなければよかった」と感じている人もいるかもしれません。そこで本記事ではファイナンシャル・プランナーの松本耕太郎氏が、会社員のFさん(仮名・31歳)の事例から、暴落時に誤った判断をしないために押さえるべきポイントを解説します。 ※為替や金利、株価の変動はさまざまな要素が絡んで起きるため、本記事でお伝えする話はあくまでひとつの可能性であることをご理解ください。
「このまま続けて大丈夫なのか?」国の“お墨付き”に安心して新NISAを始めた31歳会社員が疑心暗鬼に…「円高・株価暴落」に対処するために知っておくべき“投資の鉄則”【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

「S&P500」が下落した原因

まず前提として、これまでのS&P500は上がりすぎていました。今年からS&P500に投資を始めた人は、上半期だけで14.5%も上昇していました。その要因として、Apple、Microsoft、NVIDIA、Alphabet、Amazon.com、Meta、Tesla、いわゆる「Magnificent 7」と呼ばれるITテクノロジー業界を代表する7社(とくに半導体メーカーのNVIDIAは話題になったので知っている人も多いでしょう)の業績が好調で、それに伴い株価が上昇したことが考えられます。

 

しかし、7月のMagnificent 7の決算報告で成長率が減速していたことから、機関投資家によるAI投資への期待感が弱まりました。さらに、7月の米雇用統計発表で失業率が上昇し、アメリカが金利の引き下げを見送ることを発表したため、景気の低迷が懸念されました。

 

そのため、これまでITテクノロジー分野に投資をしていた機関投資家が、金利の利下げにより債券価格がこれから上がることを期待して国債を購入する流れとなったのです。

 

実はS&P500を構成する銘柄はMagnificent7が3割を占めているため、S&P500全体が暴落したのです。また、先ほど解説した円高ドル安により、ドルの価値が下がったこともS&P500の下落に拍車をかけました。

 

歴史から学ぶ暴落時の対処法

今回のS&P500の下落に加え、日本版ブラックマンデーともいわれた日経平均株価の暴落など、投資家にとって嫌なことが続いています。とくにFさんのように新NISAから投資を始めた人は、パニックに陥っても当然かもしれません。

 

では、このようなときにはどのように考えればよいのでしょうか。

 

まず、暴落はこれまで幾度となく起きているということを知る必要があります。S&P500を例に取ると、リーマンショック時には53%下落しましたが、5年で回復しました。また、まだ記憶に新しいコロナショック時には34%下落しましたが、わずか半年足らずで回復しました。

 

このように、これまでの歴史のなかで何度も暴落が起こり、そのたびにS&P500は回復し、さらに成長を続けてきたのです。今回の暴落もそのひとつと捉え、あまり悲観的にならないことが大切です。またS&P500であれば、過去の実績ではありますが、15年以上保有することで元本割れしない、という分析結果も出ています。

 

もちろんこれらは過去のデータであり、将来の投資成果を保証・予測するものではありませんが、15年以上投資を続けることで、お金を増やせる可能性が高いということがいえます。