「新NISA」が始まってから初めての暴落が起こりました。その後、暴落前の水準まで回復していますが、新NISAで投資を始めた初心者のなかには「やっぱり投資は怖い」「やらなければよかった」と感じている人もいるかもしれません。そこで本記事ではファイナンシャル・プランナーの松本耕太郎氏が、会社員のFさん(仮名・31歳)の事例から、暴落時に誤った判断をしないために押さえるべきポイントを解説します。 ※為替や金利、株価の変動はさまざまな要素が絡んで起きるため、本記事でお伝えする話はあくまでひとつの可能性であることをご理解ください。
「このまま続けて大丈夫なのか?」国の“お墨付き”に安心して新NISAを始めた31歳会社員が疑心暗鬼に…「円高・株価暴落」に対処するために知っておくべき“投資の鉄則”【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

ニュースやSNSを見てなんとなく始めた「新NISA」だったが…

会社員のFさん(31歳・独身)は、今年の新NISAスタートを機に、ご自身の年収の15%にあたる毎月10万円の積立投資を始めました。それまでは投資についてネガティブなイメージを持ち、怖いと感じていましたが、ニュースやSNSを見て「国がここまで勧めているならば、危ないものではないだろう」と思ったそうです。

 

そんななか、今回の円高と株価暴落が発生しました。「こんなことになるとは、なんだか話が違う」と、このまま本当に投資を継続してよいのか、今抱えている損失に対してどうすればいいのか悩み、FPの私に相談してきたのです。

 

急な円高、株価暴落の理由

最初にFさんにお伝えしたのは、今回の円高や株価暴落の理由です。 投資を行ううえでは、起きている出来事に対して自分なりに「理由」を考えることが重要です。

 

まずは円高について。為替を考えるうえで覚えておいてほしいのは、「為替は美人コンテストである」ということです。どのような要因であれ、人気のある通貨の価値が高くなります。今回の円高、つまり円の人気が上がった要因のひとつに、金利が挙げられます。

 

アメリカはコロナショックからの回復による需要の増加の影響でインフレが発生し、消費者物価指数が9%まで上昇しました。このインフレを抑えるためアメリカは金利を引き上げる政策を取っていましたが、2024年に入りインフレが落ち着いてきたため、9月、11月、12月と段階的に利下げが行われる見通しです。

 

一方、日本は長期間にわたり超低金利政策を取っていましたが、日銀が物価目標2%を達成できる見込みが立ったことや、加速する円安を抑えるために、金利を引き上げる方向性を示しました。

 

つまり、アメリカでは利下げにより今後金利が付きにくくなり、日本では利上げによって金利が付くようになります。これにより、これまでアメリカドルに投資していた人々が日本円に投資するようになり、円高が進んだのです。

 

続いて、株価についても触れました。FさんはYouTubeでおすすめされていたことを理由に「S&P500」に投資をしていました。今回はS&P500も大幅に下落したので、その理由を説明しました。