今年から始まった新NISAは、投資期間や金額が拡充され、旧NISAに比べてより使いやすい制度に生まれ変わりました。ここ数年は市場が右肩上がりだったこともあり、「新NISAで投資をすれば資産形成はバッチリ」と思っている方も多かったのではないでしょうか。しかし先日の株価大暴落で状況は一変しました。実は新NISAこそ、きちんとした投資の知識が必要な制度なのです。そこで本記事では、金子舞FPが改めて知っておきたい新NISA攻略のポイントを解説します。
「新NISAさえやっておけば大丈夫」が一転、株価大暴落で“パニック売り続出”の惨状…今こそ知っておくべき「2つの攻略ポイント」とは【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

新NISAの攻略が難しい理由

新NISAは、投資期間が無期限(恒久化)、非課税運用期間も無期限(恒久化)、非課税投資枠も拡大と、旧NISAよりも使いやすくなりました。

 

しかし、できることが増えたのにも関わらず新しい制度をきちんと理解しておらず、これまでのような「ほったらかし投資」のままでいいと思っている人も少なくありません。そんななか、先日の株価大暴落でパニック売りも多発しました。

 

このような危機的状況において、新NISAをどのように使いこなすのかをしっかり考えることが、今後の運命の分かれ道だと思います。改めて新NISAの攻略ポイントを知り、今後の危機に備えていきましょう。

 

新NISAの攻略ポイント その1…「目的」

新NISA攻略として絶対に忘れてはいけないのが「目的」です。先ほどお伝えしたように、新NISAは期間も無期限となり、投資額も格段に増えました。また、以前は「つみたてNISA」と「一般NISA」どちらかしか選べませんでしたが、今回から「つみたて投資枠」と「成長投資枠」になり、併用できるようになりました。

 

購入できる投資商品は旧NISAとそれほど変わらないですが、どちらの枠でどの商品をいくら買うのか、という戦略が必要となってきます。

 

従来の制度では、初心者なら「つみたてNISAで月約3.3万円の積立設定(年40万円上限)をして、あとはほったらかし」という人も多かったのではないでしょうか。

 

しかし新NISAでは、つみたて投資枠は年120万円、成長投資枠は年240万円あるので、どちらの枠をどう使うかが非常に重要となってきます。また成長投資枠の場合、購入方法も「積立」と「一括」から選べるので、そこも考えなければなりません。

 

このようにお話すると、「いかにこの制度を効率よく使いこなすか」ということに一生懸命になる人も多いと思います。しかし、それよりも大事なのは「目的を見失わない」ということです。

 

貯金だけをしていた人が投資を始めると、どんどん増える複利の魔法にかかり、「投資にお金を回しておけば間違いない!」と安易に考えてしまいがちです。そして、手元にある預貯金やその他の金融商品を売却・解約し、そのお金を使ってさらに投資に走ってしまうという人が後を絶ちません。

 

この状態こそまさに「目的もない投資」であり、非常に危険な状態です。より短期でより利益が出るものを追い求め、自分の耐えられるリスクを過信してどんどん投資した結果、思ったようにはいかず損をしたりします。先日の株価大暴落によるショック売りは、まさにこれの典型的な例です。

 

投資には必ず「目的」が必要です。自分がどんな目的でお金を増やしたいのか、期間やリスクはどれくらいか、どの商品が適切か、冷静に見極めなければいけません。どんなときでも目的があれば、情報に踊らされることなく自分の考えを持ち続けられます。