50代になっても海外放浪旅を続ける長男、1年ぶりに帰国
1年ぶりに兄の哲也さん(仮名・51歳)が帰国したという、鈴木陽子さん(仮名・49歳)。今回は、東南アジアを中心に回っていたらしい……そう聞くと、哲也さんは世界をまたにかけ活躍する、商社勤務のサラリーマンかなにか、とイメージするかもしれませんが、哲也さんはフリーター。
哲也さんが初めて海外に行ったのは1990年、大学生1年生のとき。当時はバブル景気のまっただ中、日本人の海外出国者は1,099万7,431人と初めて1,000万人の大台にのったときでした。このときの経験がよほど刺激的だったのでしょうか、大学時代、何度も何度も海外旅行に行くようになったといいます。
ちなみに日本人の出国者はその後も年によって上下はあるものの、年々増加傾向。コロナ禍前の2019年には2,008万0,669人と、初めて2,000万人を突破。2020年には317万4,219人、2021年には51万2,244人と大きく落ち込みますが、コロナ禍明けの2023年には962万4,158人まで回復。昨今の円安がどれほど影響を与えるか分かりませんが、再び海外に出かけるのが当たり前の日常に戻りつつあります(関連記事:『【早見表】日本への入国者数/日本からの出国者数の推移…1950年~2023年』)。
大学時代、何度も海外へ渡った哲さん。この経験が「海外をまたにかける仕事をしたい」という風になればよかったのですが、哲也さんは違いました。大学を卒業する1994年、ちょうど就職氷河期の初め。大学を卒業するのに就職が決まっていない人が増えてきた頃です。哲也さんも就職せず、フリーターの道を歩むことになります。ただ哲也さんの場合は、あえてのフリーター。「就職したら、自由に海外に行けなくなる」と、初めから就職する気がなかったのです。ただ時代のせいか、周囲からは「就職氷河期の犠牲者」とみなされていたようです。
大学卒業後は実家暮らしを続けながら、3カ月ほどアルバイトをし、お金がたまったら海外へ。帰国したら、実家で暮らしながらアルバイトをして、またお金がたまったら海外へ……そんなサイクルを繰り返していたといいます。バックパッカーで、ときに地元の普通の家庭に泊まらせてもらうことも。そのため、海外にさえいってしまえば、ほとんどお金を使わず。一度海外に行くと、半年~1年は帰ってこなかったといいます。