年金の繰上げを選択した元会社員・公務員…20万6,757人
老齢年金は(特別支給の老齢厚生年金を除き)基本的に受取りは65歳から。ただ希望すれば、60~75歳の間で受け取ることができ、60~64歳で受け取ることを「年金の繰上げ受給」、66~75歳で受け取るのを「年金の繰下げ受給」といいます。
厚生労働省『令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況』で厚生年金保険(第1号)受給権者の繰上げ・繰下げ受給状況をみていくと、対象2,804万5,102人のうち、「繰上げ受給」を選んだ人は20万6,757人、「繰下げ受給」を選んだのは37万4,481人でした。
過去5年間の推移をみていくと、繰上げ受給者も繰下げ受給者も右肩上がりで増えていき、繰上げ受給よりも繰下げ受給を選択する人のほうが多くなっています。
【年金の繰上げ受給者/繰下げ受給の推移】
2018年:77,560人(0.3%)/190,157人(0.7%)
2019年:102,497人(0.4%)/221,637人(0.8%)
2020年:128,171人(0.5%)/267,598人(1.0%)
2021年:155,968人(0.6%)/322,237人(1.2%)
2022年:206,757人(0.7%)/374,481人(1.3%)
年金の繰上げ受給を選ぶと、1ヵ月受給タイミングを早めるたびに、65歳で受け取る年金額から0.4%減額。1年早めると4.8%、2年早めると9.6%、3年早めると14.4%、4年早めると19.2%、5年早めると24.0%と、最大4分の3になってしまいます。
一方で年金の繰下げ受給を選ぶと、1ヵ月受給タイミングを遅らせるたびに、65歳で受け取る年金額から0.7%増額。1年遅らせると8.4%、3年遅らせると25.2%、5年遅らせると42.%、10年遅らせると84.0%と、最大2倍近くにもなります。
総務省『労働力調査』によると、「60~64歳」の就業率は73.0%、「65~69歳」の就業率は52.0%、「70~74歳」の就業率は33.9%。65歳から年金を受け取れるものの、「まだ給与があるから年金がなくても。それなら増えるほうが嬉しい」と、年金の繰下げを選択する人は、ますます増えていきそうな予感です。