突然、娘と孫を拒絶!父親の身に何が起こったのか?
――絶対に、勝手に家に来るな
――どうしても用事があるなら、前日までに連絡をよこせ
理由を聞いても「イヤなものはイヤなんだ」を繰り返すばかり。そうなると仕方がありません。モヤモヤする気持ちはあるものの、女性が実家に行くのは1ヵ月に1回程度、しかも事前に連絡を入れてから、となったそうです。
事件が起きたのは、不思議なルールができてからしばらく経ってから。実家の近くに用事があり、そこで手にしたお菓子を父親にもお裾分けしよう、と一緒にいた娘(孫)と盛り上がったときのこと。前日ではないものの、事前に電話をしたらいいだろうと、連絡をした女性。
――5分くらいで行ける距離にいるから
そんな女性に対し、父親は激昂。
――前の日には連絡しろと言っただろう!
そんなに怒らなくても……。カチンと来たという女性。「お菓子置いて帰るだけだから行くね」と電話を切り、5分後には実家に。ガラリと玄関の扉を開けると、そこには転倒したのか、横たわる父の姿。
――お父さん!
父親は顔を真っ赤にして、何かを隠すようにしています。それは、大人用のおむつでした。何か見てはいけないものを見てしまったと感じたといいます。
話を聞いたところ、以前のように歩行が難しくなったことで、ある日、トイレに間に合わず粗相をしてしまったとか。この経験から、大人用のおむつを使用するようになったといいます。人は老いれば、誰もがそうなる状況ではあるものの、「そんなみっともないこと、娘や孫に知られなくなかった」というのです。突然の訪問を拒絶していたのは、普段、使いやすいように見えるところに置いてあるおむつを隠すため。また通常のごみ袋とは別に入れてある、使用済みのおむつも隠さないといけません。急いで隠そうとしましたが、歩行が不自由では短時間で隠すことはできず。焦っているうちにつまづいてしまい、そこに女性はやってきたという顛末。
――そんな、みっともないなんて……
改めて親の老いを突き付けられたことに加え、父の必死な思いを知り、戸惑い、そして泣けてきたという女性。株式会社ダスキンが行った『「親のいま」に関する親子2世代の意識調査』によると、「自分の親の老いに向き合えていますか?」の問いに対して、「向き合えていない」が38.4%。4割近くの人が、親の老いを頭では理解していても気持ちが追いついていないといいます。
女性の後日談。介護が必要なレベルになっている父親。しかし家族の手を借りるのは絶対イヤだし、見られたくもない、というスタンスは変わらず。施設への入所も視野に検討しているといいます。
[参照]