立て続けに両親が認知症に…出費増で加速度的に貯蓄が消えていく
状況が変わったのは、いまから3年前のこと。母親の様子がおかしい……毎日、毎日、牛乳を買ってきては冷蔵庫の中をのぞいて「あら、まだ(牛乳が)あったわね」の繰り返し。冷蔵庫は常に牛乳だけでパンパンでした。
おかしいと思い医者にいったところ、認知症の診断。さらにそれから数ヵ月後、父親も同じように認知症と診断されたそうです。
高齢化の進展とともに、認知症患者は増加傾向。『日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究』の推計では、各年齢の認知症有病率が一定と仮定した場合、65歳以上の認知症患者数は2025年には約675万人(有病率18.5%)と5人に1人程度が認知症になると予測。2040年には認知症患者は800万人に達するとされています。さらに各年齢の認知症有病率が上昇した場合、認知症患者は2030年に800万人を超え、2050年には1,000万人、2060年には1,200万人に迫る勢いになると予想されています。
症状の進行は当初、緩やかだったので、特段問題はなかったといいます。しかし、認知症の診断から2年ほど経つと、日常生活に支障を来すことも多くなり、さらにトイレを失敗することも。
――もうだめだ!
父親と母親を介護施設に入所させることを決めた男性。いまは認知症の両親に振り回されることなく、自宅で穏やかに暮らしているといいますが、心配されるのは生活費。介護施設から請求額は、月によって違いはあるものの、2人合計月46万円ほど。自身の生活費も合わせると、月60万円近くの支出となります。
いままでよりも加速度的に減っていく貯蓄。不安が募るなか、古くからの友人たちからは「働くしかないのでは」以外の助言も聞かれず。
60代を前にして、いままで働くという経験はゼロ。「いまさら働くことなんてできるのか?」と自信もない男性。大学を卒業して以来、35年間、遊んで暮らしてきたしっぺ返しをくらっています。
[参照]
株式会社東京商工リサーチ『2023年の「休廃業・解散」過去最多の4.97万件、赤字率は過去最悪、倒産増で「退出企業」も過去最多』