誰しも「人から嫌われたくない」と思って生きているものです。しかしながら、そうした考えを突き詰めると「万人から好かれている」状態こそが理想ということになります。残念ながらそのような状態になるのは不可能でしょう。そこで本記事では、精神科医の西脇俊二氏の著書『繊細な人をラクにする「悩み時間」の減らし方 』(KADOKAWA)より一部を抜粋・再編集して、事例別に解決策を紹介。第3回目のテーマは「人に嫌われたくない」です。
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嫌われるのがイヤ
最初のテーマは、「人に嫌われたくない」です。まさに「本音」の話ですが、まずは、その本音をコーティングしている「建前」から見てみましょう。
皆さんは、「贈り物」の類いに、頭を悩ませたことはありませんか?
たとえば、年賀状や暑中見舞い、贈答品、誕生日プレゼント。「もらったのに返していない、どうしよう」「送ったのにお礼が来ない、どうしてだろう」などと、気を揉(も)んでいませんか? もっと身近なことで言えば、ラインの返信もそうです。
「既読したら早く返さないと」「未読の時間が長くてイライラしたかな」といった気遣いは序の口で、「あなたも早く返信してこい、って言ってるみたいかな」と、さらなる気遣いをする人もいます。
返したら返したで、「また返信が来たらすぐ返さなきゃ」と思ったり、「今のコメントは重たかったかな、もっと軽いノリでよかったのかな」「サラッと流しすぎ、って思われたかな」と、送ったあとで内容を後悔することもあるかもしれません。
さて、これらの気遣いも、相手だけではなく、実は自分を気にしている面があることに、お気づきでしょうか。
年賀状を返さないと悪く思われるかもしれない。ラインの返信が遅いと怒らせるかもしれない、早すぎたら「重い人」と思われるかもしれない。コメントが相手の意に沿わないものだと「気が利かない人」と思われてしまうかもしれない……。
気遣いの裏側にはえてして「嫌われたくない」という本音が隠れています。
「イヤなことを言うなぁ」と思われたかもしれませんね。でも、もう少しだけお付き合いください。この指摘は、最終的には、皆さんがラクになるためのものですから!
人に嫌われたり、人を怒らせたり、人からバカにされたりするのはイヤなものです。
できれば、誰からもそんなふうに思われたくないですね。誰からも……つまり、「全員に好かれる」のが理想だということです。しかしそれは、残念ながら不可能です。