リアルな実力を見積もって天井を低く設けがち

どちらかというと謙虚で控えめ――。自分の性格をそう捉えている方も、皆さんの中には多いと思います。その理由は、完璧主義のせいで、自分の欠点が目につきやすいからです。

謙虚さは一見良いことのようですが、損することも多々あります。たとえば、人から見たら十分上手にできていることを「いえいえ、私なんて全然ダメです」と卑下しすぎて、「イヤミ?」と捉えられてしまったり。

もっと大きな損もあります。自己評価が低すぎて、高い目標を設定できないことです。子供のころ、習い事で「頑張れば賞が取れるよ」と言われても、「私は競争なんてしたくない」と、尻込みしたことはありませんか? 10代のころ、本当は絵を褒められたのが嬉しかったのに、普通の大学だけを受験したことはなかったでしょうか。

もちろん「競争はイヤだ」という考え方も、尊重されるべきです。でも、本音のところはどうでしたか? 「どうせ、私なんかには無理だ」と思っていたのなら、それは明らかに「機会損失」です。自分の実力を低く見積もって目標を控えめにすると、結果も控えめになります。それは、先々の可能性を狭めることになりかねません。

習い事や大学なら、まだ若いですから、別の機会でやりなおしもきくでしょう。しかし、大人になっても相変わらず、同じクセがあるなら……? 仕事のチャンスを逃すかもしれませんし、意外なところでは、恋愛での失敗も増えます。

「ちょっと価値観が合わないけれど、せっかく誘ってくれたんだし」「今一つわかり合えていないけれど、やっとできた彼だし」と妥協的にパートナーを選び、最終的にひどい別れ方をして、恋愛そのものが怖くなってしまう―自己評価の低い人が陥りがちなシナリオです。もし心当たりがあるなら、自己評価を高める練習を始めましょう。

それには、「自分に期待しない」が効果的です。「逆じゃないの!?」と言われそうですが、これが一番の処方箋です。自己評価が低いのは、自分への期待が強すぎて、しょっちゅう自分にダメ出しをしてきたからです。期待を解除すれば自分をフェアに見られて、適度な自信が備わり、恐れも解除され、実力に見合ったチャレンジができるようになります。

ただ、前述の通り、これは習得までに時間がかかります。そこで、簡易な方法を一つ紹介します。「褒められた経験」を、一つでも多く思い出してみましょう。親、学校の先生、友人、同僚、先輩後輩、上司、誰から言われたことでも良いので、過去から現在まで、書き出してみましょう。……どうでしょうか? おそらく、素直に認められないものが大半でしょう。

「それくらいで褒められても」「まぐれだったんだけど」「買いかぶられてる」「これは見当違いだから」と、反論がたくさん出てくると思います。

お気づきでしょうか? それこそが、低すぎる自己評価のバイアスです。「それくらいで褒められても」は、期待値が高すぎて目が曇っている(しるし)です。

「まぐれ」「買いかぶり」「見当違い」も同じです。そのときたしかに、相手にはそう見えたのです。相手から見て素晴らしいことを、あなたはたしかにできていたのです。

バイアスが重症だと、「気の毒だと思って大げさに褒めてくれたんだ」「慰めるつもりで美点を捏造(ねつぞう)してくれたんだ」という発想も出やすくなります。しかし、それこそが捏造なので、無視してください。自分に対してどれくらい偏った判定を下してきたか、気づきましょう。

かつて自分で性急に却下してしまった成功体験と、もう一度向き合いましょう。きっと、知らなかった自分の可能性が、少しずつ見えてきます。