繊細な人ほど「目立つこと」に苦手意識を抱きがちです。自分はリーダーとしてプロジェクトの牽引をするような立場には向いていない……と思っている人も多いのではないでしょうか。また、断るのも頼むのも苦手な人も。そこで本記事では、精神科医の西脇俊二氏の著書『繊細な人をラクにする「悩み時間」の減らし方 』(KADOKAWA)より一部を抜粋・再編集して、事例別に解決策を紹介。第4回目のテーマは「繊細な人が優れたリーダーになるコツ」についてです。
リーダーには向いていない?
繊細な人は総じて、目立つことが好きではありません。ビジネスでも、華々しく注目を集めることより、自分の価値観に沿った仕事に打ち込み、完成度の高い成果物を作ることに幸せを見出す人が多いです。ですから、「リーダー業務」にも苦手意識を抱きがちです。プロジェクトを牽引(けんいん)したり、部署をまとめたり、といった仕事を任されそうになったら、つい逃げ腰になることも。
「コミュニケーション下手な自分にできるわけがない」「人に注意するのが苦手だから部下をちゃんと指導できない」と、断る理由が色々浮かんでくるかもしれません。
しかし、「自分にはリーダーは務まらない」と決めつけるのは性急です。
たしかに、リーダーに向いていない面はあると思います。人間関係において器用とは言い難いですし、注意したりするのが苦手なのもハンデです。しか、、チャンスのたびに断り続けてキャリアを狭める選択は、果たして自分にとってプラスでしょうか?
ここでは、「人間関係」という別の切り口から、チャンスを棒に振らない方法を考えてみましょう。結論から言いますと、「期待しない」と「相手の自己重要感を満たす」の双方を備えれば、HSPの方は、優れたリーダーになれます。
「期待しない」を習得すると、メンバーどうしのぶつかり合いや、アクの強い部下の行動などに一喜一憂せず、解決策を考えられます。「自己重要感を満たす」ができると、細やかな性質に、合理性と精度の高さも加わり、非常に慕われるリーダーになれます。 真面目で誠実な人が多いので、その点でも部下に信頼されるでしょう。
この超基本に加え、必要に応じて持つべき知識もあります。
メンバーの中に、マイノリティの人や発達障害の人、そしてHSPの人がいる可能性は常にあります。それらの特性についての知識を、そのつど得るようにしましょう。
同じようなHSP気質の人が相手でも、「自分と同じだから」とひとくくりに考えず、その人自身の「3タイプ」や、得意分野などと併せて理解することが大事です。
なお、おそらく一番の心配事である「注意できない問題」も、普段から相手の自己重要感を満たしていれば問題にはなりません。その一環として、覚えておくと便利なワザがあります。それは「陰口」ならぬ、「陰褒め」です。