誰しも「人から嫌われたくない」と思って生きているものです。しかしながら、そうした考えを突き詰めると「万人から好かれている」状態こそが理想ということになります。残念ながらそのような状態になるのは不可能でしょう。そこで本記事では、精神科医の西脇俊二氏の著書『繊細な人をラクにする「悩み時間」の減らし方 』(KADOKAWA)より一部を抜粋・再編集して、事例別に解決策を紹介。第3回目のテーマは「人に嫌われたくない」です。
「あの人とは縁を切る!」つい絶縁することがクセになっているあなたへ…嫌いな人と接するときに覚えておいてほしい〈たった一つのこと〉【精神科医の助言】
人を嫌うのも苦手
繊細な人が完璧主義になりやすいことは、すでにお話しした通りです。
「理想の自分」と違う自分にダメ出しをするクセは、他者に対する自分の感情に関しても出てきます。人にネガティブな感情を抱くと、居心地が悪くなったりします。
一方で、完璧主義がもたらす、もう一つのクセがあります。
トータルリジェクション、訳すと「全拒否」。ほんの少しのきっかけで、人を完全にシャットアウトするクセです。
たとえば、一度「ひどいことをされた」と思ったら、もうその人物を受け付けられなくなる。素晴らしい人だ、と思っていた相手にちょっとイヤな面が見えたら、好意がスッと消滅してしまう。そんなふうに、一度のことで、少しのことで、これまでの関わりをゼロにしたくなった、ゼロにした、という経験はありませんか?
完璧主義の人は、「こんな人だと思わなかった」「もう友達ではない」と、一緒に入っていたコミュニティまで何も言わずに辞めてしまう、といった極端な行動をとりがちです。そこまではしなくとも、「もうダメ!」「顔も見たくない!」という気持ちになったり。
繊細な人は純粋でもあるので、トータルリジェクション的な気持ちに駆られることも割にあると思います。つまり、一種の「許し下手」なのです。
素敵な人の中にもイヤな面があって当たり前ですし、尊敬すべき人の中にずるい面があっても当たり前なのですが、純粋すぎるとそれを許せないのです。
そのようにして、完璧主義が強いと、「人を嫌いたくない」という気持ちと「トータルリジェクション」というクセを併せ持つことになるわけです。
人を嫌いになりたくないのに、割としばしば人を許せなくなる、ということです。
……なかなかに厄介だと思いませんか?
でも、もしそれで苦労しているなら、その性質は変えることはできます。
「期待しない」が出てくることは、もうお察しですね。
ほんの一つの欠点も許せないほどの、相手への高すぎる期待をオフにする。
自分は人を嫌いになんかならない、という自分への過剰な期待をオフにする。
そうして、完璧主義を体質改善していく。これで全面解決です。唯一の難点は、「期待しない」の習得に時間がかかることです。なので、並行して、対処法も知っておきましょう。