しつこい母に長男が打ち明けた「帰省しない」本当の理由
帰省はお正月の1回のみ、しかも、1泊2日。他に理由があるに違いないと、女性は思い切って「何が不満なんだい」と長男に問いかけてみたといいます。
しかし長男は「何も不満なんてない」を繰り返すばかり。それでも食らいつき、「本当はXXさん(長男の嫁)が嫌がっているんでしょ」としつこく本音を聞き出そうとする女性。長男は観念したのか「金がもったいないんだよ」とポツリ。女性は「一生懸命お金もかけて育てたのに『お金がもったいない』と言われるなんて」と虚しい気持ちでいっぱいになったとか。そんな気配を察したのか、「家族で帰省するだけで20万円近くかかるんだぞ」と長男は続けます。
たしかに、お盆のハイシーズン。家族4人の飛行機代はばかになりません。
――俺の手取りだと、年1で帰るのが精一杯なんだよ。
大学を卒業し、中小ベンチャーに就職した長男。給与は大卒の平均ほどだと聞いています。厚生労働省の調査によると、大卒サラリーマン(平均年齢42.6歳)の平均給与は月収で40.8万円、年収で673.6万円です。40代前半では全体の平均値よりも若干多く、月収で42.4万円、年収704.1万円です。ただ手取りにすると、月33万円ほど。そこから家族4人の生活費に、住宅ローンや教育費の支払いをすると、余裕があるとはいえない状況です。確かに前出の義実家への帰省に関するアンケートでも、「交通費がかさむから」が「帰省しない理由」に入っていました。
女性も「飛行機代くらい出してやるよ」と、威勢のいいことがいえたらいいのですが、年金だけが頼りの生活で余裕があるとはいえず、(女性には長男含めて3人の息子がいますが)長男だけをサポートすれば、次男や三男に角が立ちます。長男は、そんな母の状況も考えて、納得できる理由を探し、お盆の帰省を断っていたわけです。そんな息子の優しさを顧みず、「給与が安くて、帰省は年1回がやっと」と言わせてしまったことに、女性は少々、後ろめたさを感じたとか。
厚生労働省『毎月勤労統計調査』によると、2年以上も実質賃金は前年比マイナスを記録し、実質、給与減が続いている状況。厳しいサラリーマンの台所事情を反映し、「長期休暇、お金がないから実家/義実家には帰省しない」という選択をする人は、さらに増えそうな予感です。
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