残価設定型クレジット(通称・残クレ)について、世間では「デメリットが多いサービス」とする否定的な意見も少なくありません。ただ、世間で言われるようなデメリットだらけのサービスであれば、はたしてここまで普及するものでしょうか。そこで今回、あえて残クレを利用する40代夫婦の事例をもとに、残クレ利用者の実態をみていきましょう。※個人の特定を避けるため、登場人物の情報は一部変更しています。
残クレで後悔する人は自業自得でしょ…手取り月収50万円・貯金1,300万円「残クレ肯定派」夫婦の言い分【FPの助言】 (※写真はイメージです/PIXTA)

残価設定型ローン(残クレ)のメリット・デメリット

残クレとは、残価設定型ローンの略称で、車両本体価格の一部をあらかじめ残価(=車の将来の想定価値)として差し引き、3年や5年など決められた期間、残額を元にして月々のローンを支払う形式のローンです。

 

契約満了時には、「車を返却する」「返却せずに購入する」「別の車に乗り換える」といった選択肢があります。

 

残クレを利用して車を購入するメリットは下記が挙げられます。

 

  • 車両価格の総額を支払う必要がない
  • まとまった金額を準備する必要がない

 

一方、下記のようなデメリットには注意が必要です。

 

  • 据え置いた残価分についても金利が発生する
  • 車の所有権はディーラー側にある
  • 走行距離の制限がある
  • 追加費用が発生する可能性がある

 

世間的にはデメリットばかりが注目されることの多い残クレですが、ある夫婦は「数年後に車を乗り換える」というルールのもと、あえて残クレを利用することにしました。

 

子どもが小学生のうちはミニバンが活躍することを考え、ミニバンを残クレで購入。3年後に返却し、コンパクトカーに乗り換えるという選択です。

残クレを利用した夫婦の経済事情

「正直、残クレで後悔する人は自業自得でしょう。きちんと理解したうえで、自分のライフスタイルに合っていれば使ったほうが得だと思います」

 

そう話すのは、年収約650万円の会社員、村上健二さん(仮名、47歳)です。彼は、妻の奈緒さん(仮名、45歳)と中学2年生の長男、小学5年生の次男の4人家族で、都内郊外の戸建てに暮らしています。

 

妻の奈緒さんは時短の派遣社員として働いており、毎月の手取りは夫婦合わせて50万円ほどです。

 

村上家では、子どもたちが小さな頃からミニバンを所有してきました。週末の買い出しや家族旅行、子どもたちの送迎など、村上家にとってミニバンは欠かせない存在です。

 

ところが、長男が中学生になった頃から状況が変わってきたといいます。