首都圏模試センターによると、首都圏の中学受験者数は推定5万2,400人ほどいるそうです。これは、首都圏の小学6年生のおよそ4.7人に1人が中学受験をしている計算になります。しかし、学費や塾代などなにかとお金がかかる中学受験は「コスパが悪い」といわれることも少なくありません。にもかかわらず、受験者が後を絶たないのはなぜなのか……自身の長男も私立中学に通う石川亜希子AFPが解説します。
私立の学習費は平均で年間約143万円→「中学受験はコスパが悪い」といわれるが…それでも受験させる親が後を絶たないワケ【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

費用を考える際の注意点

ただし、上記のデータには、中学受験に必要な小学生時代の塾代が含まれていないことに注意が必要です。

 

また、最終的に目指す大学が同じなのであれば、公立の中高に通ったほうがお金はかかりません。倍率の高い私立中学を目指し、幼いころから高い学費を支払いながら長い時間をかけて勉強する「中学受験」は、“コスパ”を考えるとあまりいいとはいえません。

 

さらに、お金をかけて中学受験をして中高一貫校に通ったとしても、最終的に難関大学に合格できるという確証はありません。難関大学に合格できる保証もないのにお金をかけるのはコスパが悪いといえるでしょう。

 

しかし、首都圏模試センターによると、首都圏の中学受験者数は2015年~2023年にかけて9年連続で増加しています。では、なぜこのように「コスパの悪い」中学受験をさせる親があとを絶たないのでしょうか?

早いうちから講義が受けられる…中学受験の「メリット」

では、中学受験のメリットはあるのでしょうか。考えられるのは下記の4点です。

 

1.大学受験を見据えたカリキュラムが組まれている

私立中学では、独自のカリキュラムを組むことができます。そのため、中学生のうちから高校レベルの内容を学ばせる学校も多く、塾に通うことなく大学受験を見据えて学習に取り組むことが可能です。

 

2.「高大連携」している学校が多い

付属校でなくても大学と提携協定を締結している学校が多く、早いうちから大学での講義を受けることができるなど、キャリア教育が盛んです。

 

3.設備や環境が整っている

学校によってさまざまですが、図書室の蔵書が充実していたり、カフェテリアや屋内プールが設置されていたり、海外研修があったりと、公立学校に比べ設備や環境が整っていることが多いです。

 

4.受験勉強で中断することなく部活動などに取り組める

高校受験がないため、たとえば部活動などに力を入れている場合、受験勉強に中断されることなく熱中することができます。

 

一方で、中学受験には金銭面以外にも、下記のようなデメリットが考えられます。