首都圏模試センターによると、首都圏の中学受験者数は推定5万2,400人ほどいるそうです。これは、首都圏の小学6年生のおよそ4.7人に1人が中学受験をしている計算になります。しかし、学費や塾代などなにかとお金がかかる中学受験は「コスパが悪い」といわれることも少なくありません。にもかかわらず、受験者が後を絶たないのはなぜなのか……自身の長男も私立中学に通う石川亜希子AFPが解説します。
私立の学習費は平均で年間約143万円→「中学受験はコスパが悪い」といわれるが…それでも受験させる親が後を絶たないワケ【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

中学受験の金銭面「以外」のデメリット

子どもへの負担が大きい

中学受験の準備は、小学3年生の終わり頃から始まるといわれています。早くから目標を持って学習に取り組むことは長期的に考えればメリットにもなる一方で、遊びの時間の多くが勉強に割かれ、子どもへの負担は少なくありません。

また、親や先生からのプレッシャーが重くのしかかることも子どもにとっては負担になりえます。

 

想像以上に保護者の負担も大きい

勉強に付き合う、スケジュール管理、学校説明会への参加、塾への送迎など、受験をサポートする親もやることは山積みです。フルタイムで働いている場合や小さな兄弟がいる場合、特に負担は大きくなります。

 

多様な価値観に触れる機会が減る

私立中学には同じような価値観、環境の家庭が多く、いい面もありますが、子どもの視野が狭くなってしまうということもあり得ます。

 

入学してから、子どもに合っていないことに気づく場合がある

偏差値重視で進学先を決めてしまうと、校風が子どもに合わなかったり、ハイレベルな授業についていけず落ちこぼれてしまったりと、思わぬ落とし穴にハマるケースもあります。

 

このように、中学受験は、子ども・親双方にとって負担がかかります。「周りのみんなも受験するから」となんとなく始めてしまうと、デメリットを感じやすいかもしれません。しかし、コスパばかりに注目していると、費用以外の大切なものを見逃してしまう可能性もあります。

 

◆まとめ…中学受験の魅力は「コスパ」だけではない

中学受験をする、しないに正解はありません。家庭ごとに大切にしたい考えや価値観は異なります。

 

我が子が中高6年間をどのように過ごすことがその先のよりよい人生につながっていくのか、本人を含め家族で話し合い、より多くの選択肢から考えるとよいでしょう。

 

ちなみに筆者の長男は、小学生時代から熱心に取り組んでいるスポーツがあり、中高6年間中断することなく続けたいという理由から中学受験をしました。現在は、友だちや先輩と切磋琢磨できる環境を楽しんでいるようです。

 

親があれこれ考えても、実際に学校で過ごすのは子ども自身です。中学受験に際しては、偏差値や進学実績といった親の理想だけにとらわれず、子ども自身がそこで過ごす価値を感じることができる学校を選び、検討するのがいいでしょう。

 

 

石川 亜希子

AFP