原則、65歳から受け取れる老齢年金ですが、希望によって、早く受け取れたり、遅く受け取れたり、自由に選択できます。年金の受取りを遅らせることにメリットがあることは知られていますが、デメリットは意外と知られていないよう。そのことをあとで知り「なぜ教えてくれなかったんだ!」と逆ギレ……そんな困ったことにならないよう、いま一度、ポイントを押さえておきましょう。
なぜ教えてくれなかったのか…年金〈月17万円〉→〈月24万円〉に増額の70歳男性「年金の繰下げ受給」を選んだ判断を後悔したワケ (※写真はイメージです/PIXTA)

年金が増額される「年金の繰下げ受給」…制度の認知度73%

――年金が増額されます

 

そういわれたら、「えっ、どうすればいいの?」と誰もが前のめりになるのではないでしょうか。原則65歳から受け取れる年金ですが、60~75歳の間で受け取り始める時期を選択でき、そのうち66~75歳に受給タイミングを遅らせるのが「年金の繰下げ受給制度」です。年金の受給タイミングを変えられることを知っているのは73.0%と、かなりの認知度。やはり毎年、誕生月に送られてくる「ねんきん定期便」に年金の繰下げのメリットが記されているからでしょうか。

 

【老齢年金の仕組みや役割についての認識】

◆学生含め20歳以上の国民は、加入する義務がある

……82.0%

◆60~75歳ので受け取り始める時期を選択できる

……73.0%

◆現役で働く世代が、高齢者を扶養する制度である

……66.8%

◆保険料の納付状況に応じて年金額が変動する

……62.5%

◆生涯にわたり年金を受給できる

……56.4%

◆物価や賃金の変動に応じて年金額が調整される

……42.3%

◆「ねんきんネット」というサービスが活用できる

……30.2%

◆「公的年金シミュレーター」というサービスが活用できる

……8.4%

 

出所:内閣府『生活設計と年金に関する世論調査』

 

ただ「年金の繰下げ受給」、いったいどんな制度なのか、きちんと理解しているかといえば、少々自信がないという人も多いのでは。そこでいまいちど、「年金の繰下げ受給」はどんな制度なのか、振り返ってみましょう。

 

年金の繰下げ受給は、66~75歳の間で年金の受取時期を選択できる制度で1ヵ月遅らせるごとに65歳で受け取る金額の0.7%が加算されていきます。

 

65歳以上の厚生年金受給者の平均受取額は、平均月17万円ほど。1年受け取りを遅らせると、8.4%増額。月17万円の年金が月18.4万円ほどになる計算です。5年遅らせて、70歳から受け取ると42.0%増額。月17万円の年金が月24.1万円ほどになります。さらに75歳から受け取ると、84.0%の増額に。65歳で17万円だった年金は、月31.3万円ほどになります。