(※写真はイメージです/PIXTA)

人口減少基調にある日本。人口が集中する首都圏においても例外ではありません。そのようななか、今後、どこが投資エリアとして有望なのでしょうか。不動産投資の検討において重要な要素のひとつ「人口」に注目をして考察していきます。今回注目するのは「神奈川県大和市」。

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「大和」「中央林間」の2駅が中心の大和市…今後の人口を予測

では「大和市」の現況についてみていきましょう。2020年に行われた国勢調査によると、大和市の人口は23万9,169人。5年前調査から2.6%増となりました。平均年齢は45.77歳。全国平均47.66歳や神奈川県平均46.45歳と比較すると、若い人が多いことが分かります。さらに人口ピラミッド(図表1)をみていくと、ボリュームゾーンは40代~50代。働き盛りが多く居住するエリアだといえます。

 

出典:総務省「国勢調査」、国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口」
【図表1】大和市の人口ピラミッド出所:総務省「国勢調査」、国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口」

 

世帯数は11万0,519世帯で、世帯当たり構成数は2.16人。全国平均2.26人は下回っていますが、神奈川県平均2.18人は若干上回っています。

 

世帯構成について詳しくみていくと、施設入居世帯除く一般世帯11万0,397世帯のうち、単身者世帯は4万4,958世帯で、全世帯の40.7%。神奈川県平均が39.2%なので、比較的家族層にも選ばれるエリアだといえます。

 

人の流れをみていくと、昼間人口は18万0,500人。夜間人口は21万0,232人。市外への通勤・通学者が多いことが分かります。そのため不動産投資を考えるのであれば、駅を中心に考えるのが正攻法だといえそうです。

 

各駅の乗降客数をみていくと、【図表2】の通り。「大和」駅が2路線計20万1,003人、「中央林間」駅が計17万4,837人。他の駅は1万~2万人台です。大和市で不動産投資を検討するのであれば、地域の中核的存在である「大和」と「中央林間」、2つの駅がまずは候補になりそうです。

 

出所:各社ホームページより ※東急電鉄は2023年数値、他は2022年数値
【図表2】大和市内各駅の乗降客数 出所:各社ホームページより
※東急電鉄は2023年数値、他は2022年数値

 


 この2駅周辺の賃貸の状況についてみていきましょう。大手住宅検索サイト3社における「大和」駅周辺の平均家賃は、1Kで6.25万円、1LDKで8.63万円、2LDKで10.80万円。一方で「中央林間」駅周辺では1Kが6.50万円、1LDKで9.52万円、2LDKで11.50万円。利用客は「大和」駅のほうが多いですが、「中央林間」駅周辺のほうが家賃水準は高くなっています。

 

そんな大和市の将来像をみていきましょう。国立社会保障・人口問題研究所では3パターンで将来人口を推計していますが、最も楽観的なものでは、今後も24万人程度で推移するとしています。一方、現実的な推計では、現在が人口のピークで今後は減少傾向に。2035年には23万人を下回り、2045年には22万人を下回る予想をしています(図表3)

 

出所:国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口」に基づきまち・ひと・しごと創生本部作成 ※パターン1:全国の移動率が今後一定程度縮小すると仮定した推計(社人研推計準拠) シミュレーション1:合計特殊出生率が人口置換水準(人口を長期的に一定に保てる水準の2.1)まで上昇したとした場合のシミュレーション シミュレーション2:合計特殊出生率が人口置換水準(人口を長期的に一定に保てる水準の2.1)まで上昇し、かつ人口移動が均衡したとした(移動がゼロとなった)場合のシミュレーション。
【図表3】大和市の人口推計 出所:国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口」に基づきまち・ひと・しごと創生本部作成
※パターン1:全国の移動率が今後一定程度縮小すると仮定した推計(社人研推計準拠)
シミュレーション1:合計特殊出生率が人口置換水準(人口を長期的に一定に保てる水準の2.1)まで上昇したとした場合のシミュレーション
シミュレーション2:合計特殊出生率が人口置換水準(人口を長期的に一定に保てる水準の2.1)まで上昇し、かつ人口移動が均衡したとした(移動がゼロとなった)場合のシミュレーション。

 

2015年時点での人口を100とした際の年齢別の人口推計をみていくと、2030年、15歳未満の人口は89.9、15~64歳人口が96.7。対して65歳以上の高齢者人口は114.3。年少人口や生産年齢人口はその後、減少カーブが大きくなっていくのに対し、高齢者人口は増加カーブが大きくなっていき、2045年には136.2に達します(図表4)

 

出所:国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口」に基づきまち・ひと・しごと創生本部作成
【図表4】大和市の年齢3区分別人口推移 出所:国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口」に基づきまち・ひと・しごと創生本部作成

 

典型的なベッドタウンとしての顔をもつ大和市は、現在、単身層のほかファミリー層からも支持されている町です。しかし今後は人口減少が予想され、高齢者の割合は増えていく一方で、現役世代の割合は減っていくと見込まれています。 このような局面において、不動産投資では綿密な立地戦略とともに、ターゲットに応じたより細やかな賃貸管理が求められてきます。付き合うパートナーがどれほど大和市の動向に詳しいかによって、不動産投資の成否を左右することになるでしょう。

 

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