不動産価格の高騰などにより、昨年、東京23区の新築マンションの平均価格は1億円を超えたと話題になりました。一般庶民には高すぎるマイホーム……そこで「夫婦2馬力」で夢を叶えようとするケースが増えています。一方で住宅ローンの活用の際に、想定外の事態に直面するケースもあるとか。みていきましょう。
世帯年収1,300万円の30代サラリーマン夫婦〈駅前の新築タワマン〉に申し込むも「住宅ローン審査」で撃沈…そこで発覚した「夫の裏切り」 (※写真はイメージです/PIXTA)

年収850万円・30代夫、ローン審査落ちのまさかの理由

都内大手企業勤務、神奈川県在住の30代サラリーマン夫婦も、最寄り駅徒歩1分に建設中のタワマンを狙うひと組。価格は3LDKで8,500万円ほどですが、同スケールの都内のマンションよりは2~3割程度安いうえ、会社のある都心へのアクセスも良好。「そろそろマイホームを」と検討していた夫婦にとっては、希望以上の物件だったといいます。

 

夫の年収は850万円、妻の年収は450万円。1,000万円ほどの頭金を用意しているといいます。仮に金利0.5%、返済方式は元利均等で、返済期間を30年とした場合、利息分は578万円ほど、月々の返済額は22.4万円になります。世帯年収で考えた場合、返済負担率は21.5%。平均的なローン負担といえます。

 

モデルルームを見学し、「もうここしかない」と惚れ込んだという2人。早速、申し込み、銀行審査の結果を待っていたといいます。世帯年収から「お客様であれば問題ありませんよ」と、不動産販売会社からも太鼓判。すでに買った気でいたといいます。しかし、結果は、夫負担分については審査が通らず、結果、夢みたタワマンは買い逃すことに。

 

年収は問題なかったはず。なのに、なぜ銀行審査が通らなかったのか……実は夫にカードローンの滞納歴があったことが発覚したのです。

 

――えっ、カードローン!?

――何にお金、使ったのよ!

 

夫婦仲は険悪に。妻が夫を問い詰めていくと、子の誕生を機に夫は「趣味のギャンブルを辞める!」と妻に約束していましたが、それは口先だけで、ギャンブルは辞めておらず……ある日、足りない軍資金をどうにかしようとカードローンを利用しましたが、返済が滞ってしまったときがあったとか。この時の滞納歴がブラックリストとして残り、銀行審査に悪影響を与えたことは確実になったのです。

 

日本には3つの主要な信用情報機関があり、金融機関などがクレジットカードの審査や融資の可否判断を行う際に利用しています。

 

ブラックリストに一度載ってしまうと最短でも5年間はその情報が残ってしまうといわれていますが、信用情報機関ごとにブラックリストの登録期間が異なるうえ、その期間は延滞の期間や債務整理の種類などで変わります。

 

どんなに年収が高かろうと、ブラックリスト入りしていては住宅ローンの活用は絶望的。違う方法を考えるか、一旦はマイホーム購入を諦めるかしかなくなります。

 

夫婦の場合、マイホームの購入熱は一気に下がり、さらに夫の懺悔の日々が続いているといいます。

 

[参照]

国土交通省『令和6年地価公示』

株式会社不動産経済研究所『首都圏 新築分譲マンション市場動向2024年5月』