4. FXで最も活用されるのは「チャート分析」で、経験年数が長いトレーダーほどよく活用している
次のグラフは、FXに取り組んでいる人の結果を集計したものです。
FXは、株式/投資信託と比較して全体的に高い割合となっているのが特徴です。また、他の投資方法では開始前後ともに「経済・金融ニュース、市場動向」が1位だったの対して、FXでは開始後に「チャートの見方・分析方法」が1位となっており、チャート分析がFXではよく活用されていることが分かります。
開始前の1位は「経済・金融ニュース、市場動向」で、開始前66.8%/開始後61.7%でした。「チャートの見方・分析方法」は開始前63.3%/開始後62.8%で、減少幅は0.5%とわずかだったことで、開始前は2位でしたが、開始後には1位になった形です。
なお、開始前後ともに3位は「トレード手法・トレード理論」が入っており、開始前55.6%/開始後49.0%と高い割合となっています。FXでは、チャート分析とともにトレードに直結するような勉強が、実際に活用されやすいといえるでしょう。
続いて、投資開始後に活用していることの上位3位をピックアップして、投資の経験年数別に集計したグラフです。
株式/投資信託と異なり、基本的に活用割合が経験年数とともに上昇しているのが特徴です。「チャートの見方・分析方法」は1年未満が35.7%なのに対して10年以上は72.5%、「経済・金融ニュース、市場動向」は1年未満が42.9%なのに対して10年以上は72.5%と、大きな上昇を見せています。
この結果からは、チャート分析や経済・金融に関する知識を上手に活用している人が、FXを長年にわたって継続できているといえそうです。逆に実際に知識を活用できない人については、FXを早期に退場しやすいことも推測されます。
FXをやめた人を対象に行った他の調査では、FXを始めて1年以内で退場した人が半数近くにのぼることが分かっています。FX業界の活性化のためには、初心者が必要な知識を身に付けながら取り組めるようサポートすることが重要になると考えられます。
【参考情報】FXにおける年代別特性とその影響
以下のグラフでは、投資開始後に活用していることの上位3位を回答者の年齢別に集計しました。
20代から40代にかけては大きな変動はありませんが、50代以降に大きく低下する傾向が見られます。若い世代の方が、上手に知識を活用しながらFXに取り組んでいる人が多いといえそうです。
なお、FXは経験年数が10年以上の人(40人)において、最も多いのが40代/50代で30.0%、これに続くのが30代で20.0%となっています。株式/投資信託と異なり、上の世代に偏っていないのが特徴です。この影響もあって、ひとつ前のグラフにおいて、経験年数が増えるにつれ活用割合が上昇していると考えられます。
なお、投資家の世代間比較を行った他の調査では、若い世代(特にZ世代)のテクニカル分析に注力する姿勢が確認できました。こちらの調査もぜひご参照ください。
まとめ
今回の調査結果をまとめると以下の通りです。
- 投資家は経済・金融に関する知識について最もよく学んでおり、実際に活用している
- 株式の投資家はチャート分析やリスク管理も重視しているが、10年以上の経験者を中心に使わなくなる傾向がある
- 投資信託の投資家は特に勉強しない人も多いが、経験年数が5年~10年未満のタイミングで知識を活用する機会が増える
- FXでは、経済・金融の知識以上にチャート分析も重視され、経験年数が長い人ほどよく活用している
この結果からは、経済・金融に関する知識は投資全般において最も活用しやすく、実用性が高いことが分かりました。また、FXに関してはそれ以上にチャート分析を活用することの重要性が高く、長期間継続するためには欠かせない知識であるといえそうです。