大きな給与差でも年金受取額は変わらず…さらに「勝ち組のほうが少ない」逆転現象も
同じスタートラインに関わらず、かたや終始アベレージで終わったサラリーマン、かたやエリートコースを歩んだサラリーマン。生涯年収は3,000万円ほどになります。
給与に大きな差が生じた、2人のサラリーマン。65歳から受け取ることのできる年金でも大きな差が生じる……と思ったら、そうでもありません。
――えっ、あいつと年金が同じ受取額って……何かの間違いでは?
老齢厚生年金の計算のもとになる平均標準報酬月額は収入によって32等級に区分されますが、世間的にはどちらも勝ち組というふたり。どちらも平均標準報酬月額は32等級となり、65歳から受け取る年金額は、併給の老齢基礎年金と合わせて月20万円ほど。そこに差はありません。
さらに場合によっては、
――えっ、何でお前のほうが年金が多いんだよ!
勝ち組のプライド崩壊……同じタイミングで年金をもらうのにも関わらず、年金額に差が生じる要因とは……家族構成や学生のころの保険料の納付状況によって、年金額に差が生じる可能性があります。
1)加給年金
厚生年金保険の被保険者期間が20年以上あり、さらに65歳到達時点で、その人に生計を維持されている65歳未満の配偶者や18歳までの子どもがいる場合、加給年金がプラスされます。加給年金額は、配偶者で年間23万4,800円。1~2人目の子は年間各234,800円、3人目以降は各78,300円。65歳で18歳までの子どもがいるケースはあまりないかもしれませんが、「妻が年下の専業主婦」というケースは多いのではないでしょうか。その場合、月2万円弱の差が生じます。
2)国民年金保険料の学生納付特例制度
日本国内に住むすべての人は20歳を迎えたら国民年金保険料を払わないといけません。国民年金保険料は令和6年4月から月額1万6,980円。ただ学生によっては、「月々1.6万円は厳しい……」というケースも。そのような時に検討したいのが、学生納付特例制度です。これは申請により在学中の保険料の納付が猶予されるもの。10年以内であれば保険料をさかのぼって追納することもできます。ただ追納せずにそのままだと、その分、老齢基礎年金の受給額に差が生じます。
令和6年度、老齢基礎年金の満額は81万6,000円。仮に3年間、保険料の猶予を受けて、追納をしていなかったら、年間6万1,200円、1ヵ月あたり5,000円強の差が生じる計算です。
思わぬところで差がつく老齢年金。制度を知っていれば、年金の減額を防げることも。「何であいつのほうが年金が多いんだ!」なんてことにならないようにしたいものです。
[参照]