一家の大黒柱を失ったとき、遺族の生活を支える社会保障である「遺族年金」。特に子育て中の遺族にとっては、なくてはならないものですが、支給要件を外れると「遺族年金ゼロ」という事態に。みていきましょう。
48歳・最愛の夫急死に、月収33万円・元課長の〈45歳妻〉大号泣…年金事務所で知る「遺族年金ゼロ」の衝撃事実に二度目の大号泣「なんて理不尽な仕打ちなのか」

家族を思って降格を果たした女性に「突然の不幸」

志願して課長から非役職者へ。相変わらず学童保育は利用しているものの、18時には子どもたちを迎えにいくことができ、毎日、家族との時間を過ごすこともできるように。再び訪れた充実の日々のなか、3つ上の夫が倒れたとの一報。くも膜下出血。1週間後、息を引き取ったといいます。

 

結婚前も含めると、20年近く一緒にいた夫が、突然いなくなってしまったことに、大きなショックを受ける女性。あまりの出来事に号泣するも、ほとんど記憶はないといいます。

 

夫の死から2週間ほどたち、「とりあえず、色々な手続きをしていかないと」と動き出します。そのひとつが年金の手続き。同じく、夫を亡くした知り合いから、遺族年金の手続きをするように促されたといいます。

 

女性の場合、国民年金に由来する遺族基礎年金と、厚生年金に由来する遺族厚生年金がもらえるはず。遺族基礎年金の年金額は「813,700円 + 子の加算額」。子どもの加算額は、1〜2人目の「各234,800円」、3人目以降は「各78,300円」。女性は128万3,300円の遺族基礎年金がもらえることになります。一報遺族厚生年金の年金額は、死亡した人の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3の額。女性の夫の老齢厚生年金の報酬比例部分は106万円。つまり79万円ほどの遺族厚生年金がもらえます。合わせると月17.3万円ほどになる計算。夫の死亡により、世帯収入が大きく減ったなか、ありがたいお金です。

 

しかし女性は年金事務所で思いもよらぬ事実を知らされます。

 

――遺族年金は受け取ることができません

 

女性は遺族年金の支給要件から外れているというのです。女性が引っかかったのは収入要件。遺族年金は亡くなった人と生計維持関係になければなりません。これは「死亡した人によって支えられて生活していましたよ」ということで、「前年の収入が850万円未満、または所得が655万5000円未満であること」という要件を満たす必要があります。

 

現在、女性の月収は33万円、年収は560万円ほどだといいます。ただ課長職だった前年は、月収60万円、年収は1,000万円近くあったそうです。

 

――えっ、いまはもうそんなに給料はもらってないんですよ

 

遺族年金の収入要件は「前年の収入」が基準となっているので仕方がありません。

 

――これからが大変なのに。なんて理不尽な仕打ちなの

 

最愛の夫を亡くしたショックに追い打ちをかける「遺族年金ゼロ」という衝撃事実に再び大号泣の女性。それでも決定は覆ることはありません。

 

[参照]

株式会社プロフェッショナルバンク『上場・大手企業の女性活躍推進の実態』

株式会社mento『女性管理職の意識調査』

遺族年金『遺族年金(受給要件・対象者・年金額)』