「投機」ではなく「投資」をするならば、20年後などずっと先を見据えて株を買うべきだ、という意見があります。しかし、そこにこだわらなくても、十分な成果を上げることができるといいます。その理由を株式会社ソーシャルインベストメント川合一啓氏が解説します。
よくある意見「20年後を見据えて株を買え」は気にする必要ナシ?…株式投資で稼ぐために知っておくべき「基本のテクニック」【プロが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

20年後のことはわからない

まず言えるのは、そもそも20年後のことなどはそうはわからないので、それを見据えて投資をする必要もないということです。

 

たとえば、20年前にAppleの株を買っていれば、今はその価格が400倍以上になっています。しかし、20年前のAppleはまだiPhoneを作っていません。さて当時、AppleがiPhoneのような世界を変える商品を作り、株価が大きく上がっていくことを、予測できた人はいるのでしょうか?

 

20年経てば世の中は大きく変わり、業界・会社ごとの栄枯盛衰もあります。20年前、人々は今よりも衣料品にお金をかけていました。テレビの視聴率も新聞の購読率も今よりずっと高く、ネット通販も今ほど盛んではなく、実店舗での買い物が主流でした。

 

また、その20年間で伸びてきた業界に属する会社でも、消えてなくなった会社は山ほどあります。いくら伸びる業界にあっても、生き残り、大きくなる会社は一部なのです。

 

ですから、そんな20年後という遠い先のことを見据え、20年後に大きくなっている会社を予測し、株を買って大儲けできる人など、なかなかいないでしょう。後になって「そう思っていたけど、株は買わなかった」という人はいるかもしれません。

 

また、いろいろな会社に投資をし、外しまくりながらも、たまたま大きく成長する会社を買えた、という人もいるかもしれません。しかし結局、20年後のことを高い精度で予測するのは、不可能なのではないでしょうか。

毎年しっかり利益を出し続ければ、20年後には運用資産は十分大きくなる

一方、どのような投資方法であろうとも、毎年しっかり利益を出し続ければ、20年後には運用資産は十分に大きくなっていきます。

 

以下に、複利で毎年何%の利益を出し続けると、20年後に当初と比べて運用資産が何倍になるかを、表にしています。

 

運用利率       20年後の運用資産増加率

 5%            約2.65倍

   10%             約6.73倍

   15%                                      約16.37倍

   20%                                      約38.34倍

   25%                                      約84.74倍

   30%                                      約190.05倍

 

20年後を見据えた投資にこだわらなくても、毎年着実に利益を出し、利益分を再投資し(複利運用)、それを長く続ければ、ちゃんと稼げるのが株式投資なのです。