2024年から新NISAが始まり、高配当利回り株の長期保有がおすすめだという意見が見受けられます。NISA口座で買った株は配当に税金がかからないため、長期保有して配当をもらい続けるのが得だ、という見解です。しかし結論としては、NISAか否かに関係なく、「インカムゲイン(配当)狙い」と「キャピタルゲイン(売却差益)狙い」に優劣はつけ難いといえます。本記事では、その理由について、株式会社ソーシャルインベストメント川合氏が解説します。
「高配当株の長期保有」で配当をもらい続けるor「売却差益」を狙う…新NISAの最適解はどっち?【株式投資のプロが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

インカムゲインで得られる利益

まず、簡単な思考実験をしてみましょう。

 

配当利回りが4%であるA社株を、保有し続けるとします。NISA口座での購入で、配当には税金がかからないとします。また、その間は減配も増配もなく、購入時の4%分の配当をもらい続けることとします。そして以下の表に、購入価格の何%分を配当によって得られるかを、保有年数ごとに示します。

 

[図表1]インカムゲインで得られる利益

 

例えば、5年経てば、購入株価の20%分を利益として得られます。そしてその時点で株価に増減がなければ、その20%すべてが利益です。また、25年保有し続ければ、株の購入費用をすべて(100%)配当でまかなえたことになり、おまけに株自体も手元に残ることになります。

 

そして、それらの間に株価が上がっていれば、当然キャピタルゲインも狙えます。この投資は、決して悪くないといえるでしょう。

 

しかし、配当利回りがその半分の2%であるB社株を買い、1年で株価が20%上がったり、5年で40%上がったりしたら、どうでしょうか?

 

その時点で売れば、A社株を持ち続けるより、確実で、大きな利益となります。これは、経過年数が長くなっても同じです。10年、20年、30年の間ならば、株価が倍やそれ以上になる会社も珍しくありません。長期保有して配当をもらい続けることによる利益を、株価上昇による利益が上回ることは、珍しくないのです。

 

よっていえるのは、インカムゲイン狙いとキャピタルゲイン狙いに優劣はつけ難い、ということではないでしょうか。そもそも両方を狙える銘柄もたくさんあるでしょうし、インカムゲインを狙ったけど減配する場合や、キャピタルゲインを狙ったけど株価が下がる場合もあるのですから、そうならないであろう会社をできるだけ安い株価で買うことが、結局は大切なのでしょう。


続いて、インカムゲイン狙いとキャピタルゲイン狙いのそれぞれの特徴を以下に示してみますので、比較してご自身の投資の参考になさってください。