年金月18万円…月40万円を稼いで「年金支給停止」される人、されない人
給料をもらっている間は年金を受け取らず、完全引退してから年金受給を開始する、という方法のほかにも、年金を受け取りながら働くというのも良く知られたものです。
60歳以降に在職(厚生年金保険に加入)しながら受ける老齢厚生年金を在職老齢年金といいますが、意識したいのが支給停止となる基準額。令和6年時点、その額は年金と給与の合計が50万円以上。50万円を超えると、月額「総報酬月額相当額+基本月額-50万円)×1/2」が年金支給停止、となり毎月の年金から減額となります。「年金支給停止」となると、日本年金機構から「支給額変更通知書」などが届き、その旨を知ることになります。
ここでいう年金は、厚生年金のこと。給与は毎月の給与と直近1年間の標準賞与額を12で割った額のことをいいます。
たとえば、夫「月18万円」、妻「月12万円」、合わせて月30万円の年金を手にする夫婦がいたとしましょう。夫の厚生年金は「18万円-6.8万円=11.2万円」。つまり給与が38.8万円以上だと、「年金支給停止」となるわけです。
厚生労働省の調査によると、65~69歳・非正規男性の月収の中央値は21.7万円。月収40万円以上はおよそ10%。実際に「年金支給停止」という悔しい思いをする人はかなりの少数派であることが分かります。
それでも実際に毎月の年金から減額されることには、どこか理不尽さを感じるもの。また「これ以上稼ぐと……」という上限があると、就労意欲の減退になることも。
一方で、年金月18万円とは別に、働いて40万円以上の収入があるに関わらず、「年金支給停止」とならない人も。それは厚生年金に加入せずに働いている人、すなわち、フリーランス。前出にある通り、在職老齢年金は、厚生年金に加入していることが前提。定年後の働き方を企業側と調整する際に「業務委託」などの形で働くことができないか確認してみるのは手。「年金支給停止」に怯えず、稼ぎたいだけ稼ぐことができるようになります。
ただその場合、収入が不安定になるなどのリスクも。どちらの働き方が自分に合っているか、よく検討することが重要です。
[参考資料]