65歳で「月17万円」の年金が、70歳で「月24万円」に!ただし喜びの裏側で…
現在、高齢者の就業率は、60代後半で5割。70代前半で3割、70代後半で1割です。日本の高齢者3,600万人とすると、1,800万人は65歳以降も仕事を続け、1,000万人強が70代になっても働き続けるという状況。800万人程度が70歳を基準に仕事をやめるともいえます。
――年金受給が始まる65歳以降も働くのだから、「年金の繰下げ」を選択したほうがお得!
と考え、いつまで繰下げるといえば、高齢者の就業率から考えて、「70歳」というのはひとつの区切りになるかもしれません。
まだ働くからと、65歳で年金を受け取らないと決めた男性。70歳、そろそろ仕事をやめて、年金生活に入ろうか……そう思っていたら、年金は17万円→24万円に増額。ちなみに年金月24万円であれば、手取りで20万円を超えます。
――やったー! これで老後も余裕じゃん!
思わず、歓喜する男性。しかも増額となった年金は一生続くのもポイントです。
――年金の繰下げ受給を選んで良かった
誰もがそう思う、おすすめ制度。しかし世の中、うまいだけの話はないことは、諸先輩方ならイヤというほど体験しているはず。そう、お得にみえる「年金の繰下げ受給」にもデメリットがあります。
1.本人が厚生年金に20年以上加入し、65歳未満の配偶者や18歳到達年度の末日までの子どもがいる場合にもらえる「加給年金」は、年金を繰り下げることで停止となり、繰下げ加算の対象にもなりません。
2.繰下げ受給中に亡くなれば年金は1円ももらえず、年金受給が始まったとしても、亡くなるタイミングが早ければ、年金受取総額が65歳で受け取ったときのほうが得、という場合も考えられます(関連記事:『【早見表】年金はいつ受け取るのが得?「額面」と「手取り額」の損益分岐点』)。
3.老齢年金は雑所得で課税対象。年金が増えることで、税金や社会保険料の負担が大きくなります。「年金額は増えたけど、想像していたよりもずっと少ない」ということになりがち。
年金の繰下げ受給は、確かに1ヵ月の年金受取額を増やすことができ、生活を安定させるのにひと役買ってくれます。しかし、「実は、損している部分もあって……」ということもあり、万能ではないことは明らか。デメリットもしっかりと知ったうえで繰下げ受給を選択しないと、「そういうことは、早く言ってよ!」と大後悔の原因になります。
[参考資料]