70歳男性、生活費「年金月7万円+アルバイト代月15万円」だったが…
働く高齢者が増えています。65歳以上の就業率は2012年19.5%だったのが2022年には25.2%。10年で5ポイント以上も上昇しました。現在、60代後半では半数、70代前半では3割、70代後半でも1割の人が働く時代です。
【高齢者の就業率の変化】
60~64歳:57.7%→73.0%
65~69歳:37.1%→50.8%
70~74歳:23.0%→33.5%
75歳以上:8.4%→11.0%
総務省『労働力調査』
※数値左2012年、右2024年
なぜ、働く高齢者は増えているのか。株式会社パーソル総合研究所が行っている『働く1万人の就業・成長定点調査』によると、「71歳以上になっても働きたい」と希望する人に「働き続けたい理由」を挙げてもらったところ、「働くことで健康を維持したいから」が最多で57.8%。「働かないと時間をもてあましてしまうから」は3位で39.9%。長寿化による健康意識や行動の変化が、労働意欲を駆り立てている様子が分かります。一方、「生活を維持するために収入が必要だから」が2位で47.6%。このなかには「余裕のある生活を維持したい」という人もいる一方で、「働かないと生活費が足りず、暮らしていけない」という、かなり切羽詰まった人も相当数いると考えられます。
交通整理や工事現場で働いてきたという、70歳の独身男性の場合もそう。65歳から受け取っている年金は老齢基礎年金のみで月6.8万円(令和6年度)。「保険料だけ真面目に払ってきて良かったよ」というものの、それだけでは生活費は足りず、月15万円程度をアルバイトで稼いで暮らしているといいます。
ただ年齢には勝てず、腰を痛めて以来、今まで通りのペースで働くことができなくなったという男性。腰痛はどんどんひどくなり、ついにアルバイト代はゼロに。
――月7万円程度の年金では……本当に苦しい
季節は冬。本当であれば暖房がほしいところですが、電気代も節約して、布団に包まって寒さをしのぎます。「もう、ダメかも……」と思っているときに、ポストに緑色の封筒が入っていることに気付きます。差出人は、日本年金機構。