がんの治療法とされているものは数えきれないほどありますが、もし自分や家族が「がん」と診断され、医師から治療法を提示された際、まずまっさきに確認しておかなければならない1つの事象があります。それはいったいなんなのか、医師である勝俣範之氏の著書『あなたと家族を守る がんと診断されたら最初に読む本』(KADOKAWA)より、詳しくみていきましょう。
「がんの治療法」を提示されたら…患者がまっさきに聞くべき“たった1つの質問”【医師が解説】
「標準治療」とは具体的にどのような治療を指す?
O:さて、その標準治療には、どのようなものがあるのですか?
勝俣:がんの標準治療は、①手術、②放射線治療、③薬物療法(抗がん剤治療)の3つの治療法からなっています。これを一般的にがんの「3大治療」と呼んでいます。さらに緩和ケアも、4つめの標準治療として認知されるようになってきました。
現在の標準治療はこれらの治療法の順番や組み合わせを変えながら行うのが基本で、最適解のようなものがたった1つあるというわけではありません。がんの種類やステージのほかに、患者さんの意思、年齢、持病の有無や臓器の機能などの体の状況、仕事や生活様式など、1人ひとりの状況や背景を考えたうえで、がんの専門医をはじめとするさまざまな医療スタッフが集まり、相談しながら決めていきます。
O:つまり、標準治療は、患者さん1人ひとりに合わせた「カスタムメイド」の治療だということですね。
勝俣:そうなんです。そして標準治療には、進化が著しいという側面もあります。世界中でがん医療のすさまじい進歩が続いているからで、医療の現場がそれに追いついていくのは実際にはなかなか大変です。たとえば抗がん剤で目覚ましい治療効果があって生存率が改善したケースでも、一方で副作用が強いことがある。そうすると病院側はその治療を安全に実施するために、態勢が整うまで採用できないこともありえます。
エビデンスが確固な標準医療は、真摯に取り組んでこそ最善の効果が出るからです。参考までに下表にあげたサイトではそれぞれのがんの診療ガイドラインを説明していますので、治療法選択の参考にしてください。
勝俣 範之
日本医科大学武蔵小杉病院腫瘍内科
教授/部長/外来化学療法室室長